90日シナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.233】
新型コロナウイルスの感染拡大以来、メールマガジンで何度もお伝えしているようにシナリオプランニングは不確実性を扱う手法です。
現在のように、日々、不確実な状況がどんどんと変わっていっている時期においては、シナリオプランニングを「長期の未来」を考える手法だと考え、実際の取り組みを行うのは避けた方が良いでしょう。
なぜなら、シナリオプランニングで「長期の未来」を考えることができていたのは、当面のことは確実な範囲内で検討できるような状況だったからです。
しかし、上で書いたように今は違います。
現在のような状況で、深く考えずに長期の未来を考える取り組みをしてしまうと、直近の不確実性にきちんと目を向けることなく、都合の良い未来の可能性を描いてしまうようなシナリオの取り組みになりやすいのです。
そのため、今、考えなくてはいけないのは、「自分たちにとって “不確実” だと言えるのは、どれくらい先のことなのか?」ということです。
その上で、その範囲でシナリオテーマを設定し、作成したシナリオを元にして、自分たちにとって”不確実” な範囲でのロードマップなどをつくり、対応策を考えていくのです。
例えば、弊社では、現在起きていることの影響についての分析を行った上で、90日後のことを考えるシナリオを作成して、それを元にロードマップをつくり、それに基づいた施策に取り組んでいるところです。
これを機に、改めてシナリオプランニングの基本に立ち戻り、今の時期だからこそ効果を発揮するシナリオの使い方をしてください。
コラム執筆者:新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役
東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオプランニングやプロダクトマネジメントの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。
Saïd Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオプランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオプランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオプランニングの指導を受ける。
その内容を理論的な基礎としながら、2013年の創業以来、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオプランニング活用支援を行っている。
資格として、PMP(Project Management Professional)、英検1級、TOEIC 990点、SAP関連資格などを保有している。
主な著書に『実践 シナリオ・プランニング』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『90日変革モデル』、『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』(すべて翔泳社)などがある。