不確実性と不確実耐性を持つリーダーを育てる【Stylish Ideaメールマガジン vol.253】
新型コロナウイルス感染症に振り回された2020年。
年の終わりには「大変な年だったけれども、来年こそは良い年に」というようなメッセージを至るところで見かけました。
そして年明け早々の2度目の緊急事態宣言が首都圏を皮切りに、現時点で11都府県で出ています。
もちろん、だからといって「良い年ではない」というわけではありませんが、2021年も、おそらく2021年以降も、先が読みにくい日々が続いていくのではないかと思います。
いくら先が読みにくく、不確実だといっても、それが長く続けば続くほど、良くも悪くも私たちはこの状況に慣れてしまいます。
最初は大変だと思っていた状況でも、それに慣れていくに連れて、「なんとかなるだろう」と、徐々に考えることをあきらめるようにもなってきてしまうのです。
もちろん、考えた方が良いからといって、不安になるまで考えすぎてしまえば精神的な負担も大きくなってしまいます。
考えるのをあきらめず、かといって不安になるほど考えすぎないためには、不確実な可能性と、それらの組織や個人への影響を具体的に検討していくことが必要です。
今のような時代に、このようなことを日々実践していくために必要な要素を「不確実感性」と「不確実耐性」と呼んでいます。
「不確実感性」というのは、身の回りで起きている、起きる可能性がある不確実な出来事に敏感になることです。
一見、自社や自分に関係のない出来事でも、「それが起きたら、どんな影響があるのか?」と考えるきっかけになるものです。
「不確実耐性」というのは、あるプロジェクトをやっていた際にメンバーの Iさんが使い出した言葉をそのまま使わせてもらっています。
これは、先が読めない、はっきりしない状況で、にわかに結論を出すのではなくて、はっきりしないまま、さまざまな可能性を踏まえ、行動していくために必要な要素です。
以前にご紹介した「ネガティブ・ケイパビリティ」という考え方にも置き換えることができます。
・シナリオプランニングとネガティブ・ケイパビリティ【Stylish Ideaメールマガジン vol.235】
このように身の回りで起きている不確実なことに敏感になりながらも、それに振り回されることなく、わからないままでも行動していくことができる。
これからは、そんな一見相反するような要素を持ち合わせたリーダーが必要になってくると考えています。
先が読めないことが当たり前になっていく時代、株式会社スタイリッシュ・アイデアでは、そのようなリーダーを育てていくためのご支援により一層力を入れていきたいと考えています。
コラム執筆者:新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役
東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオプランニングやプロダクトマネジメントの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。
Saïd Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオプランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオプランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオプランニングの指導を受ける。
その内容を理論的な基礎としながら、2013年の創業以来、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオプランニング活用支援を行っている。
資格として、PMP(Project Management Professional)、英検1級、TOEIC 990点、SAP関連資格などを保有している。
主な著書に『実践 シナリオ・プランニング』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『90日変革モデル』、『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』(すべて翔泳社)などがある。
