ロックダウン2.0時代のシナリオ実践で常に考えるべき問い【Stylish Ideaメールマガジン vol.247】

新型コロナウイルス感染症の対策は依然として気を緩めることはできない状況が世界中で続いています。

ヨーロッパのいくつかの国で再びロックダウンが実施されています。

再びロックダウンということで生活者にどんな影響があるのかと思っていた際、ロイターのこの時期を見つけました。

・アングル:「ロックダウン2.0」、メーカーの想定外だった消費行動 | Reuters

再びロックダウンが実施されるということで、以前にあったような衝動的な買いだめに対する各メーカーの対応が紹介されています。

記事を読んでいくと、各社の対応が進む中、

「エコノミストらは、消費者が浪費している余裕などないことを悟っており、したがってパニック買いに走る可能性は低いと話している。」

という見解も出ています。

本当に不確実な時代になっていると感じます。

前回のロックダウンでこういうことが起きたから、今度はこう対応するという応用が、この短期間の間でも通用しなくなっているのです。

もちろん、このことがすべてに当てはまるわけではないのも確かです。

別の言い方をすれば、どのような企業にも当てはまる汎用性のあるパターンのようなものがないに等しいのが今の時代です。

こうなってくると、今年の5月にお送りしたメールマガジンで書いた次のようなことを取り入れたシナリオプランニング実践が必要です。

「今の状況でのシナリオプランニングでは、状況によっては、数年や数ヶ月どころではなく、数週間、数日単位で作成したシナリオを見直さなければいけなくなることもあり得ます。」

・来たるべき長期戦にシナリオプランニングをどう活用するか?【Stylish Ideaメールマガジン vol.232】

もちろん、単純に短い期間でのシナリオ作成を何度も繰り返せば良いわけではありません。

これまで何度か紹介したように、シナリオを作り直す際の振り返りがますます重要になってくるでしょう。

「振り返り」といっても漠然としていますが、わかりやすく言えば、

「以前にシナリオをつくった際に想定していたことのうち、見直さなければいけない点は何だろうか?」

という問いを常に念頭に置いて、一度つくったシナリオの見直しを行うのです。

言い換えれば、シナリオを作り直す際に見直す対象として、外部の環境変化だけではなく、内部の思い込みも含めるということ。

このような取り組みをとおして、外部の変化にあわせ、内部の変化も進めていく仕組みを整えていくことが必要な時代です。

コラム執筆者:新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役

東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオプランニングやプロダクトマネジメントの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。

Saïd Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオプランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオプランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオプランニングの指導を受ける。

その内容を理論的な基礎としながら、2013年の創業以来、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオプランニング活用支援を行っている。

資格として、PMP(Project Management Professional)、英検1級、TOEIC 990点、SAP関連資格などを保有している。

主な著書に『実践 シナリオ・プランニング』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『90日変革モデル』、『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』(すべて翔泳社)などがある。