シナリオプランニングとは、現在のような不確実な時代の中で、先が見えない環境変化に振り回されることなく、戦略立案、計画立案、戦略実行などのさまざまな企業経営の場面において、不確実な変化の可能性を機会に変える取り組みを行うための重要な出発点となる考え方です。

シナリオプランニングの定義

スタイリッシュ・アイデアでは、シナリオプランニングを次のように定義しています。

設定したテーマにおいて起こり得る不確実な未来の可能性を検討し、その結果をインプットとして不確実な未来の可能性に備える対応策を検討する。さらに、このステップを繰り返すことで、未来のとらえ方をアップデートし続ける取り組み。

ややこしい定義のように思えるかもしれませんが、なぜ、このような定義にしているのか、このような定義を持つシナリオプランニングの基本的な考え方はここで詳しく解説しています。

シナリオプランニングの実践方法(シナリオプランニング実践の7ステップ)

ここまで紹介した定義や、シナリオプランニング入門で紹介した考え方を踏まえて、どのようにシナリオプランニングの取り組みを進めていけば良いのでしょうか?

シナリオプランニングは次の7ステップで取り組みます。

  1. シナリオテーマ設定
  2. 外部環境要因リサーチ
  3. 重要な環境要因の抽出
  4. ベースシナリオ作成
  5. 複数シナリオ作成
  6. シナリオ詳細分析
  7. 戦略オプション検討

この7つの詳細を確認したい方は、次の記事も参考にしてください。

ロイヤル・ダッチ・シェルとシナリオプランニング

シナリオプランニングという手法を確立したのはロイヤル・ダッチ・シェルです。同社は1965年に不確実な未来に対処するための取り組みを始め、現在に至るまでシナリオプランニングをさまざまな形で活用しています。

シナリオプランニングをビジネスで使い始めたシェルが、こんなにも長くシナリオプランニングを活用している理由、そして最近になって、日本でも多くの企業がシナリオプランニングに取り組んでいる理由は何でしょうか?

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2013年11月号に掲載された論文「シナリオ・プランニング:その歴史と貢献」の中では、シェルがシナリオプランニングに取り組んでいる目的について次のように紹介しています。

シェル方式のシナリオプランニングは、未来を予測することを目的としていたのではない。その価値は、組織のプロセスにシナリオが埋め込まれること、またプロセス同士を結ぶ重要なリンクとなることにある。プロセスとは、たとえば戦略策定、イノベーション、リスク・マネジメント、広報、リーダーシップ開発などである。

この解説で大切なのは「その(シナリオプランニングの)価値は、組織のプロセスにシナリオが埋め込まれることにある」という部分です。

このことは、弊社の公開セミナーやコンサルティングでも常に強調している「シナリオプランニングの取り組みは未来のことを描いて終わり」ではないという点に通じます。言い換えれば、完成したシナリオを、アウトプットではなくインプットとして組織のプロセスである戦略策定や事業開発、リーダー育成などの取り組みに埋め込んでいくことが、シナリオプランニングに取り組む意義なのです。

シナリオプランニングの起源

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2013年11月号に掲載された論文「シナリオ・プランニング:その歴史と貢献」によれば、シナリオプランニングを企業で使い始めたのは石油やガスなどを手がけるロイヤル・ダッチ・シェルです。

1965年にシェルがロンドンで開始した「長期研究」と呼ばれる活動がきっかけとなり、不確実な未来に対処する取り組みが始まりました。その後、1971年11月にはシェルの最初の石油価格シナリオが完成し、エグゼクティブに提出されました。彼らはその後、約50年以上に渡って、シナリオプランニングを活用し続けているのです。

シナリオプランニングに取り組むことで得られる成果

スタイリッシュ・アイデアでは、先ほど紹介した「シナリオプランニング・プロジェクトマネジメントモデル」に基づき、シナリオプランニングを活用したプロジェクトを数多く手がけてきました。

その結果、シナリオプランニングに取り組むことで、組織にとって次のような変化が起きることがわかりました。

思い込みを排除した事業検討などができるようになる

未来の可能性を複数検討することで、「現在の状態が今後もこのまま続く」という思い込みを抜け出して、想定外を踏まえた事業や研究開発、ビジョン等の検討ができるようになる。

発想を広げた顧客および自社の理解ができるようになる

現在の顧客や事業にとらわれず、顧客の変化や自社の資源を元にして、より幅広い視野から事業ドメインをとらえ直すことができる。

現状にとらわれない戦略的対話が行われるようになる

組織内での利害関係を超えて、将来の可能性を踏まえ、全社視点からの戦略的対話が研修やプロジェクトの参加メンバーの中から生まれてくる。

もちろん、シナリオプランニングに取り組めば、このような成果をすぐに得られるわけではありません。結果を急いだあまり、効果が出なかったどころか、逆効果になってしまうことも起こり得ます。

そのため、本格的にシナリオプランニングに取り組む場合、スタイリッシュ・アイデアでは、組織開発などの理論を元にして、コンサルティングサービスとしてご支援することを基本としております。

ただし、いきなりコンサルティングが良いのかどうか判断できないという場合は、企業研修や公開セミナーEラーニングでまずはシナリオプランニングを試してみることも可能です。また、リソースページからは、シナリオプランニングの手法を解説したガイドブックなどがダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

『実践 シナリオ・プランニング』

『実践 シナリオ・プランニング』表紙
「シナリオ・プランニング」とは、組織や個人が未来を見据え、不確実性をチャンス・機会に変えていくための思考法。

シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。

本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。