新型コロナウイルス感染症の拡大以降、世界中でさまざまな想定外の変化が起きていることに伴い、シナリオプランニングへの注目が急速に高まっています。

コンサルティング会社などによる書籍や記事、ビジネス手法を紹介するウェブ上の記事などでシナリオプランニングが取り上げられることが増えていることからも、注目の高さをうかがい知ることができます。

シナリオプランニングに
取り組む余裕がない…

それだけ良い手法だからといって、誰もがすぐに、気軽にシナリオプランニングに取り組むことはできません。その理由は、シナリオプランニングの進め方で紹介している7つのステップを見てもわかるとおり、これらのステップにゼロから取り組むためには、まとまったメンバーと時間、そして労力を確保しなければいけないからです。

取り組むことを優先するあまり、これらのリソースを十分に確保できないまま始めてしまっても、結局、十分な成果物や成果を得られないまま終わってしまうことになります。

では、人材や時間といった十分なリソースを確保できない場合、シナリオプランニングの取り組みをあきらめなければいけないのでしょうか?

そんな悩みを解消するために開発されたのが未来創造ダイアローグです。

未来創造ダイアローグ(Future Generative Dialogue)とは?

未来創造ダイアローグとは、シナリオプランニングの専門家が特定の目的のために作成したシナリオ(ベースシナリオと複数シナリオ)を使って、参加者がダイアローグを行い、目的に沿ったアクションプランを考えるための一連のプロセスをまとめた手法です。

わかりやすく言えば、予め用意されたシナリオを使って、参加者で対話をする手法です。

一般的な未来創造ダイアローグに取り組むステップでは、事前に未来創造ダイアローグに取り組む目的などをうかがい、弊社でその目的に沿ったシナリオを作成します。それを元に目的に沿った対話の場をつくります。

未来創造ダイアローグの効果:
戦略的対話

拙著『実践 シナリオ・プランニング』では、シナリオプランニングの実践によって得られる主な効果として、次の3つを紹介しています。

さまざまな視野や視点で


自組織の
取り組みを


検討できるようになる

変化の可能性を


先取りして
動くことが


できるようになる

組織やチーム内に


「戦略的対話」を
行う


土壌が育まれる

この中でも、未来創造ダイアローグに取り組むことで得られるもっとも重要な効果は3番目の「戦略的対話」が行われるようになる点です。

「戦略的対話」が行われている状態とは、組織内のさまざまな場所や場面で起きている非公式なやり取りの中で、既存の事業の将来や新規事業の可能性、今度の組織や人材育成の在り方等、組織に関するさまざまなテーマについての対話が行われていることを指します。

最近、さまざまなところで対話(ダイアローグ)の重要性が叫ばれています。しかし、何の題材もない対話では、なかなか話が続かないか、話が続いたとしても終始、組織に対する批判で終わってしまうということも珍しくありません。

一方、未来創造ダイアローグでは、不確実な未来を元にしたシナリオを題材に対話を進めます。シナリオが題材になるため、対話は自然と未来のことを考えるための対話になります。未来は誰にとっても平等に「これからやってくるもの」ですから、未来を元にした対話では、組織内での役職や立場の差を超えて、誰もが対等な関係で話しやすい状況をつくりやすくなります(もちろん、シナリオを使えば自動的にそうなるというわけではないので、未来創造ダイアローグの設計に沿ったファシリテーションは必要になります)。

「自組織で対話が必要だということは理解している。しかし、どのように対話を始めれば良いのかがわからない」と悩む方にとって、未来創造ダイアローグは最適な手法です。

未来創造ダイアローグの活用例

未来創造ダイアローグは、次のような目的で活用されることが一般的です。

1. シナリオプランニングの代替として戦略立案等に活用する

このページの冒頭で書いたとおり、自社でゼロからシナリオプランニングに取り組む時間等のリソースが足りない場合、シナリオ作成部分にかかる時間や労力を節約するために未来創造ダイアローグを活用します。

弊社のコンサルタントが、未来創造ダイアローグを活用する目的を詳しくおうかがいし、それに応じたシナリオを作成します。イメージしていたシナリオになっているかどうかを確認していただいた上で、参加者を集めた未来創造ダイアローグを実施し、そこから出てきたアイデアを戦略や中期経営計画等につなげていきます。

2. 組織やチームでの対話の場をつくるために活用する

1番目のように戦略等の明確な成果物を作成することを目的とするのではなく、シナリオプランニングを活用した組織・チームづくり(組織開発)でもご紹介しているような組織づくり、チームづくりのために未来創造ダイアローグを活用します。

ここでも、まずは弊社のコンサルタントが、目的に応じたシナリオを作成します。そして、それを元にした対話の場を進めていきます。対話の場のつくり方は、シナリオプランニングを活用した組織・チームづくり(組織開発)でもご紹介しているとおり、一回限りの取り組みとして設計する場合もあれば、継続的に取り組んでいくことを念頭に進めていく場合もあります。

3. プロジェクトで作成したシナリオを組織内で浸透させるために活用する

これはシナリオプランニングを活用した戦略・中期経営計画策定で紹介したプロジェクト形式の取り組みとの組み合わせで進める活用方法です。

シナリオプランニングを活用した戦略・中期経営計画策定のようなプロジェクトは、プロジェクトの効率などを考えて、最大でも20名前後のメンバーで取り組むことが一般的です。

しかし、戦略や中期経営計画は、組織全体で共有し、実行していくものですから、それらを考えた土台であるシナリオを知っているのがプロジェクトメンバーだけでは、シナリオを元にした戦略や計画の効果が半減してしまいます。

そうならないために、取り組むのが未来創造ダイアローグです。これまでご紹介した2つの活用法とは異なり、ここで使用するシナリオは、弊社が作成したものではなく、プロジェクトでつくられたシナリオです。

そのシナリオをプロジェクト内にとどめておくのではなく、組織やチームのメンバー全員が、戦略や計画の元となっているシナリオを理解し、不確実な未来の可能性を自分事としてとらえ、戦略実行・計画実行を進めたり、場合によっては既存の戦略や計画に新たな視点をもたらしてくれることを意図して取り組む未来創造ダイアローグです。

この取り組みをとおして、作成したシナリオとそれを元に検討した戦略や計画を、組織全体に浸透させることも目的として進める活用法です。

未来創造ダイアローグが
生まれた背景

未来創造ダイアローグが生まれたのは、あるプロジェクトがきっかけでした。

そのプロジェクトでは、プロジェクトオーナーやステークホルダーへのヒアリングから、参加者が自身の思い込みから抜け出し、自分たちの将来を考えてもらうための手法としてシナリオプランニングが有効だろうという話になりました。

そうだからといって、すぐにシナリオプランニングに踏み切れない理由もありました。ひとつには参加者の過去の経験という点から、いきなりシナリオプランニングに取り組むのは難易度が高いこと。もうひとつは、いくら難易度が高いものであっても時間をかければなんとかなるものの、確保できる時間も限られていました。

だからといって、ありもののシナリオを使って対話をすることは避けたいと思っていました。シナリオプランニングに取り組む多くの方が勘違いしていることですが、別の目的のためにつくられたシナリオで自組織のことを考える対話をするのは避けた方が良いというのが定説です。

それに照らすと、安易にどこかのシナリオを引っ張ってきて、それで対話を行うことは、かえって逆効果にもなりかねないと思いました。

そこで思いついたのが未来創造ダイアローグの原型です。別の目的のためにつくられたシナリオを使ってはいけないのであれば、その組織の目的のためにシナリオをつくれば良いと考えたのです。

もちろん、自分たちで自分たちのためにシナリオをつくることが本来シナリオプランニングで目指しているものであり、理想でもあります。しかし、その当時置かれている現実は、その理想を追求には無理があるものでした。

そこで折衷案として弊社のメンバーを中心として、お客さまメンバーにも一部かかわってもらうことで、お客さまの目的に沿ったシナリオを作成しました。そして、そのシナリオを使ってどうやって対話の場をつくっていくのかを考えて実践したのです。

その後、似たような機会での試行錯誤を経て、体系化したのが「未来創造ダイアローグ」という手法です。

未来創造ダイアローグは株式会社スタイリッシュ・アイデアの登録商標です。(商標登録第6425045)