今こそシナリオプランニングの基本に立ち戻る【Stylish Ideaメールマガジン vol.230】
シナリオプランニングの重要性、必要性はこのような時期にますます高まってきています。
ただし、せっかくのシナリオプランニングも誤った使い方では、効果が期待できないどころか、逆効果になってしまうこともありえます。
最近はお客さまから「このような時期にシナリオプランニングをどのように使えば良いのか?」というお問い合わせをいただくことも増えました。
前回のメールマガジンでもご紹介したリスクと不確実性を混同を混同しないという点もシナリオプランニングを正しく使うために忘れてはいけない視点です。
しかし、実際にお客さまの取り組みについての相談を受けているうちに、もっと基本的なところに立ち返る必要性を痛感しています。
それは、「シナリオプランニングはこういう未来になってほしいということを考えるための手法ではない。起きる可能性があることを、自分たちの都合と切り離して考える」ということ。
連日、新聞やオンラインメディアでは、新型コロナに関するニュースが流れています。このような記事を見続けていると、少しでもポジティブなことを考えたいと思うのは自然なことです。しかし、それをシナリオプランニングでやってしまってはいけません。
シナリオプランニングは設定したテーマにおいて、起こり得ることは何かを考えるための手法。そして、その起こり得る未来の中で、組織として、あるいは個人として、最悪を避け、少しでも良い状態を実現するために、今から何に取り組むのかまでを考える。
誰もが未来が良くなればと思っているはずですし、それ自体は悪いことではありません。
しかし、現実として、今後しばらくは、そのような楽観的な見方をすることはできません。
そういう時期だからこそ、組織・個人として、今後、何が起こり得るのかを冷静に見極め、備えを考えていくべきだと考えます。
このような時期だからこそ、こういうシナリオプランニングの基本に立ち戻って考えていくのが大切です。
コラム執筆者:新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役
東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオプランニングやプロダクトマネジメントの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。
Saïd Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオプランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオプランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオプランニングの指導を受ける。
その内容を理論的な基礎としながら、2013年の創業以来、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオプランニング活用支援を行っている。
資格として、PMP(Project Management Professional)、英検1級、TOEIC 990点、SAP関連資格などを保有している。
主な著書に『実践 シナリオ・プランニング』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『90日変革モデル』、『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』(すべて翔泳社)などがある。