「自分の」問題意識を育む次世代リーダー育成プログラムのつくり方
次世代リーダー育成への取り組みが増えてきた

シナリオプランニングや未来創造ダイアローグを使った次世代のリーダー育成プログラムのお声がけをいただくことが増えてきました。
弊社が単独で実施する場合もあれば、さまざまな方をお招きするプログラムの一部として、私がシナリオプランニングや未来創造ダイアローグを使って、次の世代にその組織をけん引していく皆さんに、いろいろなことを考えていただく場合もあります。
弊社単独で実施する場合、どうしても私のものの見方がプログラムに反映されてしまうことになるので、決して独りよがりの内容にならないよう、自分自身も学ぶ時間を取り、学ぶ機会に足を運んでいます。
一方、さまざまな方が登壇されるプログラムの一部を私が担当する場合、私以外の方が提供するコンテンツや受講者の皆さんに伝える内容がそれぞれまったく違う場合も多く、私自身がとても勉強になっています。そして、学び方にいろいろなスタイルがあるように、教え方にもいろいろなスタイルがあるのだと感じます。
私自身の学びのスタイルの変遷と現在地
私自身の学び方のスタイルを振り返ってみても、若い頃は輝かしい実績と切れ味のある主張がある方に強く影響を受けていました。その後、シンクタンクにいた時とその後しばらくは「知識がすべて」という感じでひたすら世の中の知識や経営理論、フレームワークを頭の中に取り込んでいたように思います。
では最近はどうなのかというと、自分の問題意識に沿うものを選び、学んでいる感じですね。
シナリオプランニングをやっている以上、世の中の動きに無関心でいるわけにはいかないので、これまでと同じように知識は仕入れ、さらに、シナリオプランニングで取り組んだことを組織に広げていくために必要な理論やフレームワークも引き続き学んではいます。
私が大事だと考えている育成のスタイル

そうなると、私が提供する次世代リーダー研修のスタイルも、自然とそれを反映したものになります。
つまり、私から一方的に知識や考え方を提供するというよりは、受講している方それぞれの問題意識にまずは気づいていただき、そして、それを元にご自身のテーマや対応を考えてもらうやり方を好みます。
そういうスタイルだからこそ、私が代表を務める弊社の次世代リーダー育成では、シナリオプランニングや未来創造ダイアローグを組み込んでいます。
「自分の」問題意識にたどり着くことの難しさ
先ほど書いたような「自分で自分の問題意識に気づき、それを元にテーマや対応を考える」ということは、一見、簡単にできるように見えて、実はそうではありません。私の経験上、多くの人が迷うのが「自分の」問題意識とは何なのかという点です。
「自分の」だと思って言葉にしてみると、自分以外の誰かが言っても同じように聞こえてしまうような言葉しか出てこない。「自分の」だと思っていても、ついつい、組織の中での受け(たとえば上司受け)を意識して内容や言葉を選んでしまっている。「自分の」だと思っていても、対応策まで考えたら、別に自分がやってもやらなくてもいいものなんじゃないかと思えてしまう…。
というように、実は一筋縄ではいきません。一筋縄ではいかない中で、「どうせ、このプログラムが終われば普段に戻るんだし」と魔が差して、上で書いた組織の中の受けが良いものに走ろうとしてしまう人も出てきます。
そういう人たちに、ただ、言葉でだけ「もっと視野を広くして考えて」と言っても、それはかけ声にしかなりません。なぜなら、彼らの中に「自分の」問題意識は育まれていないからです。
シナリオプランニングを活用することの意義

そういう時に、シナリオプランニングや未来創造ダイアローグをやっていれば、その「受け」は、「今の環境」における、「今の上司」にしか通用しないものだということが突きつけられます。その中には、「未来の環境」は想定されていないし、「未来の顧客」も、もしかすると「今の顧客」も含まれていないかもしれません。
もちろん、シナリオプランニングなどをやったからといって、すべての人が「自分の」問題意識を明瞭に言語化できるわけではありません。しかし、「もっと視野を広くして」とだけ言われることと比べると、経験上、より多くの人が自分事として考えられるようになっています。
シナリオプランニングは、不確実な未来の可能性を考える手法です。優れた手法ですが、ただ、シナリオプランニングをやりさえすれば、誰もが「自分の」問題意識をたやすく見つけられるようになるわけではありません。
参加者それぞれの置かれている状況に合わせて、悩むところはきちんと悩んでもらい、足りないものは何が足りないのかを気づいてもらい、未来のことだけではなく、受講するひとりひとりの考えていることに的確なフィードバックをしながら進めていくことが肝要です。
ただ、この要となる部分をしっかりと押さえて進めると、視野を広げ、視点を今以上に増やしながら、自社のことと「自分の」問題意識を考えてもらえる確率が高まるものだと考えています。
このような理由で、弊社では次世代リーダー育成にシナリオプランニング、あるいはシナリオプランニングを元にした対話手法である未来創造ダイアローグを活用することをお薦めしています。
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単に複数シナリオをつくって終わりにしないためにも、プロジェクト等の設計時点からご相談いただくことをお薦めしています。