目指すべき未来創造を達成するために【Stylish Ideaメールマガジン vol.300】

2023年の元旦に、自社サイトで今年に取り組むことをご紹介しました。

書いてあることは、講座のアップデートや情報発信の話ということで、大きな方向性というよりも、具体的なタスクについて書きました。中でも、コンサルティングなど、弊社のサービスを利用されていない方に関連する部分を意識して書きました。

 ただ、もちろん、2023年、そういった形式的な部分だけに取り組むというわけではありません。

 そこで2023年初のこのコラムでは、もう少し弊社が目指していることに踏み込んで、2023年、そしてそれ以降に取り組んでいきたいことを書いてみたいと思います。

●戦略的対話を社内で広めるための取り組み

 2022年は、シナリオプランニングを活用したさまざまなプロジェクトのご支援をしましたが、中でもご要望としていただくことが増えたのが、プロジェクトで取り組んだ結果を社内に展開するというお話でした。

 プロジェクトでは、自社にとって考える意義があるシナリオの作成に取り組むことになりますが、プロジェクトに参加できる人数の都合上、そこにかかわるメンバーは、どうしても社内の限られた人だけになってしまうことが一般的です。

 しかし、社内の一部のメンバーだけが理解していても十分ではないということで、取り組むのが社内展開の取り組みです。

 これは言い換えれば、拙著『実践 シナリオ・プランニング』で紹介している「戦略的対話」を社内で実践するための取り組みと言うことができます。

 (「戦略的対話って?」という方は、ぜひ過去のこちらのコラムをご覧ください↓)

 一部のメンバーがシナリオプランニングの理解をするだけにとどまらず、その結果を元に、社内で戦略的対話が行われるような状態を目指したいというプロジェクトが増えてきました

●戦略的対話をとおして目指すもの

 社内で戦略的対話が行われるようになっている状態とは、言い換えると、社内で不確実な将来に関する対話が当たり前のように行われるようになっている状態です。

 しかし、ただ単に対話が行われている状態を目標にしているわけではありません。 そうではなく、不確実な将来に関する対話が社内で当たり前のように行われることで、対話にかかわるひとりひとりが、対話をきっかけに自分事として考えるようになり、自分の立場からできることを考えだし、動き出すという好循環を社内の至るところで起こすことを目指しています。

 具体的な取り組みとしては、社内メンバーのファシリテーター養成に取り組み、ファシリテーターの方が実際に社内で展開していくのをご支援するという形で進めています。

●未来創造組織の成熟度モデル

 組織としてこのようなことを実現していくために、昨年後半から「能力成熟度モデル統合」の考え方や『人間中心設計におけるマネジメント (HCDライブラリー)』の中の成熟度モデルに関する内容(同書 第8章 HCDにおける組織の成熟度)などを参考にしながら、シナリオプランニングなどの未来検討手法を活用する組織の成熟度モデルを考え始めています。

 まだ生煮えのβ版のような状態ですが、下図のような形で考えを進めています。 

 この図ではあくまでも組織全体を対象にしていますが、これをチームや個人にも応用しやすいように、もう少し練っていきたいと思っています。

 ただ、この取り組みも、成熟度モデル自体をつくることが目的ではなく、組織やチーム、個人が「戦略的対話をとおして不確実な将来を考えられるようになる」というのは、具体的にどういう状態なのかを説明しやすくなればと思って取り組んでいるものです。

 そうすることで、目指すべき状態を描きやすくなり、戦略的対話をとおして不確実な将来を考えられるようになる組織やチーム、個人が増えることにつなげていけるようになることを目的として見据えています。

●シナリオプランニングをとおして目指すべき状態を達成するご支援

 いきなり成熟度モデルのことを出してしまいましたが、2023年、そしてそれ以降に弊社が取り組んでいくことという本題に話を戻しましょう。 かねてから「シナリオプランニングで作成したシナリオはアウトプットではなくインプット」ですとか、「成果物ではなく成果を意識したシナリオプランニングのプロジェクトを」というようなことを言い続けてきました。

 2023年以降は、このような形でお伝えしてきたことを改めて整理し、よりわかりやすい形で理解していただきつつ、シナリオプランニングをはじめとした手法を、組織やチーム、個人として活用し、目指すべき状態を達成していくことをご支援する取り組みに、今まで以上に力を入れていきたいと考えています。

 そのためにはシナリオプランニングはもちろん、関連する理論や手法にも幅広く目を向け、お客さまのニーズと現状に合ったご支援をしていきたいと考えています。