日本のことを考えるシナリオプランニングでの海外情報の扱い【Stylish Ideaメールマガジン vol.214】
国内のお客さまとシナリオプランニングのプロジェクトをやる場合、シナリオを作成するテーマは日本を対象としたものがほとんどです。
海外に拠点があるお客さまでも、特に初めてシナリオプランニングに取り組む場合は、シナリオテーマをつくる際の注意点を踏まえて、テーマを日本にする場合が多くなっています。
(「シナリオテーマをつくる際の注意点?」と思った方は、ぜひ、こちらの実践ガイドブックをご覧ください。)
例えば海外にも拠点があるメーカーさんでも「2030年の日本における製造業」というようなテーマでシナリオを検討します。
海外に拠点がある場合でもそうなので、日本市場を主にしているお客さまの場合は、まずは迷うことなく日本をテーマに考えます。
このように進めていくと、必ず出る質問が、「このグローバル化が進んだ時代に、海外からの影響はまったく考えないのか?」というものです。
そういう場合、いつも「海外からの影響も考えます」と答えます。
たしかにテーマは「日本」にしていますが、だからといって、シナリオをつくる際に収集する外部環境要因は日本のものだけにとどまりません。
仮に日本国内だけで事業をやっていたとしても、関税や為替、気候変動、海外での技術開発など、海外からの影響を避けることはできません。
そのためテーマは「日本」にしていても、海外のことを一切考えないわけではないのです。
むしろ、最終的な軸にはならなかったとしても、一度はあえて海外のことを軸として考えてみて、普段なら考えていない海外からの影響にまで目を向けてみることは大切です。
シナリオプランニングに取り組むことは、自分の思い込みに気づいたり、普段なら目を向けていない点にまで目を向けるきっかけとなるもの。
そのため、たとえ「日本」がテーマでも、いや、「日本」がテーマだからこそ、海外にまで目を向けることが必要なのです。
コラム執筆者:新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役
東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオプランニングやプロダクトマネジメントの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。
Saïd Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオプランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオプランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオプランニングの指導を受ける。
その内容を理論的な基礎としながら、2013年の創業以来、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオプランニング活用支援を行っている。
資格として、PMP(Project Management Professional)、英検1級、TOEIC 990点、SAP関連資格などを保有している。
主な著書に『実践 シナリオ・プランニング』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『90日変革モデル』、『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』(すべて翔泳社)などがある。