シナリオプランニングで生まれる「重要性」の新たな意味【Stylish Ideaメールマガジン vol.192】

先日、仕事の合間の息抜きにこんな動画をYouTubeで見ていました。

・星の大きさを比較 2

地球も含めて星の大きさを比較する画像や動画はよく目にするもので、今回も同じような内容の動画だと思って見ていましたが、この動画の最後に印象的な言葉が出てきました。

Importance always means one thing in relation to another.

There is no such thing as importance alone.

(試訳:重要性というのは、常に他のものとの関係で決まる。重要性というものが独立してあるわけではない)

この動画にあるように、他の星と比較すると、私たちがなじんでいる月や地球がとても小さなものであることがわかります。

このように何かと比較をすることで見えていなかったことが見えてくることがあります。

そう言われてみると、私たちが日々使っている「重要性」という言葉の危うさに気がつきます。

さまざまなステークホルダーが集まる場では、それぞれの立場で「重要性」を主張して、意見が平行線をたどることがよくあります。

そのような場面を冷静に分析してみると、往々にして「重要である」前提が共有されていないことがよくあります。

ですので、会議などの場面で「重要性」の意見がかみ合わない場合は、一度、それぞれの主張の前提に立ち戻ってみると良いかもしれません。

そして、その前提に立ち戻る時、今のような変化のスピードが速い時代においては、「未来」の視点も含めてみると良いでしょう。

今だけで考えると、ある意見とある意見の重要性は対立するものかもしれませんが、例えば「10年後の未来」ではどうでしょうか?

今だけで考えると、ある意見の重要性は取るに足らないものかもしれませんが、例えば「10年後の未来」ではどうでしょうか?

シナリオプランニングのワークショップの場で起きるのは、このように「今だけ」という前提を取り外すことで生まれる対話です。

今だけを考えるのではなく、例えば10年後の未来を前提にして考えてみることで、これまで何気なく使っていた「重要性」という言葉に新しい意味が生まれてくるかもしれません。

コラム執筆者:新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役

東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオプランニングやプロダクトマネジメントの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。

Saïd Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオプランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオプランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオプランニングの指導を受ける。

その内容を理論的な基礎としながら、2013年の創業以来、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオプランニング活用支援を行っている。

資格として、PMP(Project Management Professional)、英検1級、TOEIC 990点、SAP関連資格などを保有している。

主な著書に『実践 シナリオ・プランニング』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『90日変革モデル』、『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』(すべて翔泳社)などがある。