シナリオプランニングに取り組む場合、次の7つのステップで進めていきます。

  1. シナリオテーマ設定
  2. 外部環境要因リサーチ
  3. 重要な環境要因の抽出
  4. ベースシナリオ作成
  5. 複数シナリオ作成
  6. シナリオ詳細分析
  7. 戦略オプション検討

この7つのステップに取り組む前には「シナリオ作成準備」に取り組み、7つのステップの後には「戦略実行」に取り組みます。詳しいステップは書籍『実践 シナリオ・プランニング』で解説しています。また、以下の7つのステップの概要は、「シナリオプランニング実践ガイドブック」でも解説しています。

シナリオテーマ設定

このステップは、シナリオ・プランニングの方向性を明確にする重要なステップです。その方向性を表現したものが「シナリオアジェンダ」「シナリオテーマ」です。
「シナリオテーマ」は、シナリオ・プランニングに取り組む際に、どのような設定でシナリオをつくるのかを定めたものです。このあと見ていくように、期間をどのくらいに設定するのか、対象とする地域をどこにするのかなどを明確にします。
このシナリオテーマを検討するため前提として、シナリオ・プランニングの取り組みをとおして検討したい課題や論点が明確になっていることが必要です。シナリオ・プランニングでは、この課題や論点のことを「シナリオアジェンダ」と呼んでいます。
通常、まず「シナリオアジェンダ」を明確にして、それをもとに「シナリオテーマ」を設定し、シナリオ・プランニングの取り組みを本格的に進めていきます。

  • 目的:シナリオプランニングの取り組みの方向性を明確にする
  • 進め方:シナリオプランニングに取り組む目的とシナリオを作るテーマを考える
  • 使用するツール等:論点の確認 / シナリオテーマ設定フレームワーク(時間軸・地理軸・検討テーマ)
  • アウトプット:シナリオアジェンダ / シナリオテーマ

STEP
1

外部環境要因リサーチ

シナリオテーマを設定した後は、そのテーマに関連する外部環境要因を収集します。リサーチをする「外部環境要因」の範囲は、シナリオテーマに関連がありそうな情報を集めると理解してください。

  • 目的:シナリオ作成に使用する候補となる外部環境要因を収集する
  • 進め方:文献などを使ってシナリオテーマに関連がある外部環境要因を収集する
  • 使用するツール等:STEEP
  • アウトプット:外部環境要因

STEP
2

重要な環境要因の抽出

ある程度の数の外部環境要因を集めることができたら、それらをシナリオ作成に使うものとそうでないものに分類していきます。それが「重要な外部環境要因の抽出」のステップです。ステップ名にあるとおり、このステップでは収集した外部環境要因のうち重要なものを抽出することを目的としています。
重要かどうかを判断するために「影響度」という基準を使います。何に対する影響度なのかというと、ステップ①で設定したシナリオテーマに対する影響度です。それぞれの外部環境要因がシナリオテーマに与える影響が大きいかどうかを検討し、影響が大きいものを重要なものとみなします。
さらに、それぞれの外部環境要因の「不確実性」もここで判断します。これは設定した期間の状態を1つに特定できるかどうかを基準に不確実性が高いか、低いかどうか分類します。

  • 目的:収集した外部環境要因を分類し、その中からシナリオ作成に活用する重要なものを抽出する
  • 進め方:収集した外部環境要因を「不確実性」と「影響度」の観点で分類する
  • 使用するツール等:不確実性マトリクス
  • アウトプット:重要な外部環境要因

STEP
3

ベースシナリオ作成

ステップ③では、収集したさまざまな外部環境要因の中からシナリオ作成に活用するものだけを抽出しました。抽出する際には、シナリオテーマに照らして影響が大きいものだけを残しました。
抽出した外部環境要因の中には不確実性の低いもの(設定した期間における状態を1つに特定できるもの)と高いもの(設定した期間における状態を1つではなく、いくつか想定できるもの)の両方が残っています。
このうち不確実性の低いものを整理して「ベースシナリオ」を作成するのがステップ④です。

  • 目的:影響度が大きく、不確実性が低い外部環境要因を整理し、設定したシナリオテーマにおける確からしい可能性を検討する
  • 進め方:不確実性マトリクスのうち、不確実性が低く、影響度が大きい要因を整理する
  • 使用するツール等:不確実性マトリクス
  • アウトプット:ベースシナリオ
STEP
4

複数シナリオ作成

「ベースシナリオ」を作成したあとは、収集したさまざまな外部環境要因のうち、テーマに与える影響が大きく、不確実性が高い外部環境要因をもとにして複数シナリオを作成します。複数シナリオは次の3つのサブステップで作成します。

①軸の作成
② 2 軸の組み合わせ
③複数シナリオの中身の検討

  • 目的:影響度が大きく、不確実性が高い外部環境要因を整理し、設定したシナリオテーマにおける不確実な可能性を複数 検討する
  • 進め方:①軸の作成 ②2軸の組み合わせ ③複数シナリオの中身の検討
  • 使用するツール等:不確実性マトリクス / 軸 / 複数シナリオ
  • アウトプット:複数シナリオ

STEP
5

シナリオ詳細分析

前のステップで複数シナリオの中身を考える際には、シナリオテーマに基づいて、自由に考えていきました。ただし、それでは次のステップの戦略オプション検討につながる観点が盛り込まれていない場合もあります。そのような観点を盛り込むために行うのが「シナリオ詳細分析」です。

  • 目的:複数シナリオの内容に自組織が考えたい観点を盛り込むために、共通の切り口で複数シナリオの各シナリオを詳細化する
  • 進め方:共通の切り口を設定し、複数シナリオの個々のシナリオを具体化
  • 使用するツール等:詳細分析切り口
  • アウトプット:詳細化された複数シナリオ
STEP
6

戦略オプション検討

シナリオ・プランニング実践のためのステップの最後では、作成した複数シナリオをもとに対応策の案を検討します。ステップ名に「戦略」という言葉が入っていますが、ここで検討した対応策の案は計画や事業、パーパスなど、戦略以外にも活用します。
実際のシナリオ・プランニングの取り組みでは、プロジェクトの目的に応じて対応策の案を検討する流れや、その際に活用するフレームワークやツールも変わってきます。
目的によって具体的な検討内容は変わってくるものの、作成した複数シナリオをもとに考えるべきことは「どのようなシナリオになったとしても大丈夫なようにするために、今からどのような備えをしておくべきか?」ということです。
これを組織の戦略検討に当てはめれば、どのようなシナリオにも対応できる戦略や代替案を検討することになりますし、個人のキャリアに当てはめれば、どのようなシナリオにも対応できる個人としてのキャリアプランを検討することにつながります。

  • 目的:作成した複数シナリオを踏まえた対応策を検討する
  • 進め方:作成した複数シナリオを元に顧客ニーズの変化や自社の脅威を踏まえた対応策を検討する
  • 使用するツール等:顧客ニーズの変化 / 自社の脅威
  • アウトプット:戦略オプション
STEP
7

『実践 シナリオ・プランニング』

『実践 シナリオ・プランニング』表紙
「シナリオ・プランニング」とは、組織や個人が未来を見据え、不確実性をチャンス・機会に変えていくための思考法。

シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。

本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。