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自信を持って道に迷う【Stylish Ideaニューズレター vol.033】

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自信を持って道に迷う

◆習慣がもたらすもの
先ほど、ふと思い出して、本棚から斉須政雄氏の『調理場という戦場』という本を取り出してきました。

この本は、社会人になって間もない頃、仕事がなかなかうまくいかず、乗り越えられないような壁を感じていた際に手に取り、何度も何度も読み返したもの。

・『調理場という戦場』
※ 今日持ち歩いていたのはリンク先の文庫版ですが、ほぼ日ブックスの一冊 ( http://amzn.to/1peBDbC ) としても出ています

この中には、非常に力強いメッセージがたくさん詰まっています。例えば、「毎日やっている習慣を、他人はその人の人格として認めてくれる」という一節。最初に読んだ時からとても印象に残っている言葉です。

似たような内容ですが、次の一節も気になる言葉でした。

 ひとつひとつの工程を丁寧にクリアしていなければ、大切な料理を当たり前に作ることができない。大きなことだけをやろうとしていても、ひとつずつの行動が伴わないといけない。
裾野が広がっていない山は高くない。
そんな単純な原則が、料理においても、とても大切なことなんです。
料理人という仕事をしていると、日常生活の積み重ねがいかに重要なことかがよくわかります。
窮地に陥ってどうしようもない時ほど、日常生活でやってきた下地があからさまに出てくる。それまでやってきたことを上手に生かして乗りきるか、パニックになって終わってしまうか。それは、日常生活でのちょっとした心がけの差なんです。

これは料理だけに当てはまる話しではありませんね。どんな仕事にも、個人としての生活にも当てはまることです。

◆「組織変革」という言葉の相容れなさ
先日実施した組織向けのシナリオプランニングの講座名は「組織変革のためのシナリオプランニング」です。

この講座名にある「組織」と「変革」というのは、実はまったく正反対の位置づけにあるような概念で、『ディープ・チェンジ』という本では、「この二つの概念は、そもそも互いに相容れない」とまで言っています。

・『ディープ・チェンジ』

「組織」とは、いろいろな仕組みを整え、ひとりではなし得ないようなことを実現できるようにしたものであり、一般的には、自由でカオスのような状況よりも、統制が取れたような状況であり続けようという力が働きます。

一方で「変革」とは、これまでやってきたことを捨てるような取り組みです。場合によっては、組織として日々積み重ねてきたことを完全に捨て去るようなことも求められるかもしれません。

斉須氏が「窮地に陥ってどうしようもない時ほど、日常生活でやってきた下地があからさまに出てくる」と書いている部分は、もちろんポジティブな意味で言っているものですが、ときにはこれがネガティブに作用することもあり得るわけです。

本当は変わらなくてはいけない、それも「ディープ・チェンジ(根本的変化)」を起こさなくてはいけないような場合でも、これまでやってきたことに大きく引っ張られ、『ディープ・チェンジ』で言うところの「緩慢な死」に向かって進んでいってしまいます。

◆「自信を持って道に迷う」
では、組織の中で変革を起こすためには何が必要なのか?それは、自分自身の変革です。

組織として変革が必要な場面というのは、自分たちが必要だと思って主体的に行動をする前に、外部からの強い必要性(例えば、新規参入者による産業構造の変化や法制度の変更などがきっかけとなるもの)によって変化しなければならない場合もあり得ます。

一方で、組織の中の一個人が自分自身の変革を起こし、それがきっかけとなり、組織の変化につながることがあります。

そして、最近は『ディープ・チェンジ』をはじめ、『なぜ人と組織は変われないのか』など、個人と組織の双方の変革に焦点を当てた本も出てくるなど、組織を変えるためには、個人にも焦点を当てるという見方も増えてきたように思います。

『ディープ・チェンジ』の中では、変革に対する態度として「自信を持って道に迷う覚悟」という言葉が出てきます。

組織としての変革を実現するために、組織の中のひとりひとりが自分自身の変革を起こす。

その変革のために必要なのは、斉須氏の言うように、周りから見れば、その人の人格と見えるような日々の習慣を積み重ねていく。その習慣は惰性で続けるようなものではなく、「自信を持って道に迷う」ようなものであるべきなのかもしれませんね。

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編集後記「人生生涯小僧のこころ」

なぜか今日は経営書ではない本を読み返したくなり、「シナリオプランニングの現場から」でもご紹介した『調理場という戦場』に加え、大峯千日回峰行に取り組まれた塩沼亮潤氏の『人生生涯小僧のこころ』を読み返していました。

・『人生生涯小僧のこころ』

なぜ彼はここまで挑戦するのか。その先に何を見ているのか。そんなことを知りたくなり、急に読み返してしまいました。

本の中では、塩沼亮潤氏が行を行っている際につけていた日誌の内容も公開されていますが、554日目の日誌が印象に残りました。

554日目、歩んだ道を振り返れば涙と汗で滲んでいる、それがあるから今がある。
修行とは、風呂に入って体を洗うように心を洗うようなもの。

今週もばたばたしていたので、今日は心を洗うようにゆっくり休みたいと思います。

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