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あなたの事業は何業界ですか?【Stylish Ideaニューズレター vol.044】

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あなたの事業は何業界ですか?

◆あなたの事業は何業界ですか?
こんな質問をされたら、なんと答えるでしょうか。そんなわかりきったことを今さら聞くなという声もあるでしょう。「IT業界」、「製薬業界」、「教育業界」などなど。

では、あなたの事業に関する市場はどこで、業界はどこですか?

「業界」だけを聞かれると当たり前だと思っていても、「市場」とあわせて聞かれると、混乱するかもしれませんね。

この違いは単純で

・市場:商品を買いたいと思う【買い手】の集合
・業界:特定の種類の商品群を提供する【売り手】の集合

と定義されます。

2007年に出版された隠れた名著『ビジネスロードテスト』では冒頭で、この「市場」と「業界」を区別する重要性を説いています。

・『ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件』

◆なぜ「市場」と「業界」を区別が大切なのか?
冒頭で質問した際に例として出した「IT業界」、「製薬業界」、「教育業界」という分類は、先ほどの定義を元にすると、これは売り手から見た分類です。

新聞や雑誌などで取り上げられる場合も、この業界の切り口で景気が良い悪いといった分析をしています。あるいは「○○業界はブラックな会社が多い」といったような形で、わたしたちも日常的に使っていますね。

これはこれで自然なことです。

しかし、あなたの競合が同じ業界にいるとは限りません。言い換えれば、買い手が何かの商品を選ぶ時の選択肢として考えている企業が、すべてあなたの業界の企業とは限りません。

具体的に考えてみましょう。

例えば「会計のサービスを探している」という小さい会社の社長がいるとします。このような買い手がいる市場を、仮に「会計サービス市場」と呼ぶことにしましょう。

では、この「会計サービス市場」に売り物を提供する業界はどこでしょうか。

士業。そうですね。会計士、あるいは、この場合は会社の規模が小さいということで、税理士になるでしょうか。これがすぐに浮かんでくる業界です。

しかし、それだけではありません。

毎月税理士に顧問料を払うほどではなく、決算の時だけでいい。それまでは自分でソフトウェアを買ってやるという会社もあるかもしれません。弥生会計を買うという人もいるかもしれませんし、クラウド会計ソフト「freee(フリー)」を使うという会社もあるかもしれません。

こういう選択肢を持つ会社にとって頭に浮かんでいるのは士業ではなくソフトウェア業界です。

あるいは、レシートなどの入力を代わりにやってもらいたいという会社もいるでしょう。自分でソフトウェアを使ってやるというのも手間がかかる。

そういう選択肢を持つ会社はアウトソーシング業界を頭に浮かべているはずです。

◆機能の多さは本当に必要か?
市場がこのような状況だとして、あなたが会計ソフトを作っている会社の開発者だとします。

この時、自分たちが「ソフトウェア業界」としてだけしか考えていなければ、「会計サービス市場」に対して、より魅力的な機能を追加しようと躍起になっているかもしれません。

「A社のソフトはこんな機能をつけていて、B社はクラウド対応、だからうちはこんな機能をつけて売りだそう!」

という感じです。

しかし、この時、「会計サービス市場」のお客さまが、実はアウトソーシングサービスを探していたとしたらどうでしょうか。その人にとってソフトウェアの機能の多さは何のアピールにもなりませんね。

自分たちがソフトウェアを作っていると、当然のように周りの競合もソフトウェアを作っている会社だと思ってしまいがちです。

もちろん、業界内の企業が競合であることは確かなのですが、大切なのは、市場から見た場合、必ずしも業界内の企業だけではない可能性があるということです。

◆業界横並びで発想しない
ここまで書いている内容は、従来から使われている「業界」の見方を否定することが目的ではありません。

そのような見方は、自社のシェアや今後の市場機会をつかむためには、非常に便利ではあるのです。

しかし、業界という見方でのみビジネスをとらえていると、いつの間にか、顧客を見るのではなく、併走している競合企業ばかりに目が行き、いかにそこよりも抜きん出るのかということばかり考えてしまいます。

そうするうちに、顧客の要望は置いてきぼりになり、別の業界から「新星のごとく現れた」企業に既存の顧客をごっそり持っていかれてしまうことになりかねません。

ある業界の既存の企業から見れば「新星のごとく」なのかもしれませんが、顧客から見れば当然かもしれないのです。

このような話題は、例えば『イノベーションのジレンマ』などで詳しく書かれている内容です。しかし、仮にそういう理論を知らなくても、顧客の視点から見れば、「市場=業界」ではないことは想像がつくはずです。

レストランに来るお客さんは、お腹を満たすことだけが目的でしょうか?

「食を通して健康になりたい」ということを求めている市場ととらえることはできないでしょうか?

英会話学校に来る生徒さんは、英語を話せるようになることだけが目的でしょうか?

「グローバルにキャリアを展開していきたい」ということを求めている市場ととらえることはできないでしょうか?

お遊びのように聞こえるかもしれませんが、顧客の視点を失わず、業界横並びの凝り固まった発想にとらわれないためにも、一度、社内で議論してみてはいかがでしょうか。

あなたの市場は何でしょうか?
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編集後記「金しゃちビール」

先々週、先週に、大阪・名古屋に仕事で行ってきました。大阪は頻繁ではないものの、年に数回は行っているのですが、名古屋は久々。

今回は金土で用事があるという変則的なスケジュールの出張。
しかも夜は仕事の関係の懇親会がホテルの宴会場でという状況だったので、あまり大阪・名古屋の味覚を堪能できませんでした…。

大阪のときよりもホッとして終えられた、名古屋からの帰りの新幹線で飲んだこのビールは美味しかったなぁ。

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