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どんな経験をしてほしいのか?【Stylish Ideaニューズレター vol.045】

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どんな経験をしてほしいのか?

◆大人気のチェキ
前回の市場と業界の区別の話しにはいろいろな反応をいただき、とてもありがたいです。

気を良くして、元々書こうと思っていた続編を、さらに気合いを入れて書こうと持っていたときに、こんな記事をみつけました。

・チェキの販売台数、ついにデジカメを逆転へ
http://toyokeizai.net/articles/-/40878

ちょっと刺激的な見出しをつけているところはありますが、これは目を引く話題です。

チェキとは一言で言えばインスタントカメラ。つまり、撮ったものを、その場で現像して見ることができるというもの。

一定以上の年齢の人には新しくもなんともないこの機能。
しかし、物心ついた時からデジカメや、携帯やスマートフォンに付属のカメラ機能に慣れ親しんできた世代には、かえって新鮮に映ります。

◆チェキの何が受けているのか?
この事例から、改めて「価値を決めるのはお客さまである」ということを痛感します。

ある機能について、提供者側から見て古いとか新しいと議論するのは意味がありません。古かろうと新しかろうと、利用する側としては、そこに価値を見出すことができればいいのです。

チェキの場合、利用者はどこに価値を感じたのでしょうか。少し古い記事なのですが、こんな記事がありました。

・デジカメ時代に「チェキ」がなぜ人気?
http://toyokeizai.net/articles/-/11975

この記事の2ページ目にこんなコメントがありました。

— デジカメしか知らない世代は、チェキのようなインスタントフィルムカメラをどう受け止めているのでしょうか?

渡邊:「新しい」ですね(笑)。撮った写真が液晶画面に映るのではなくて、モノとしてプリントされて出てくることに驚きを感じているみたいです。当社のイギリス現地法人の社長が息子にチェキを渡したら、「パパ、撮った写真が出てくるなんてすごいデジカメだね」と言っていたとか。デジタルカメラとかフィルム
カメラとかの違いというよりは、まったく新しいカメラととらえられているようです。

坂田:チェキはプリントされた写真を友だちに渡したりしてコミュニケーションが広がります。このようなデジカメはほとんどないですから、これはチェキのオンリーワンの存在価値だと思っています。

これは面白いですね。

デジカメに慣れている世代にとって、物理的な「モノ」として撮ったものをすぐに共有できるという体験が新鮮で、そこに価値を見出しているのかもしれませんね。

最近の日本では物が足りなくて困っているということは、通常、あまりありません。そのような中で、単に「モノを消費する」ことだけでは顧客に価値を感じてもらいにくくなってきました。

そこで目がいくのが「体験」です。単に気に入ったモノを手にレジに行って、お金を払ったら、それでおしまいではない。買ったそのあとに、これまでなら体験できなかったようなことをする。

チェキの場合であれば、簡単に複製できるようなものではない「モノ」としての写真を、知り合いと「モノ」として共有するというところが、これだけの人気を集めている理由のひとつと言えるでしょう。

◆プロダクトの定義
昨年9月に “Product Management and Marketing Body ofKnowledege” (プロダクトマネジメント・マーケティング知識体系)と呼ばれる本が出版されました。

プロジェクトマネジメントにPMBOKと呼ばれる知識体系がありますが、そのプロダクトマネジメント版です。

・Product Management and Marketing Body of Knowledege

その中にある「プロダクト」の定義に関する部分にこんな記述があります。

顧客から見れば、プロダクトはそれを使う前から使っている最中、そして使い終わったあと、顧客のニーズを満たすことを目的とした商品とサービスの組み合わせによって提供される総体的な経験である。(新井試訳)

仮にかなり昔、例えば1950年代にこのような体系があったとすれば、この定義はもう少し違ったものだったかもしれません。しかし、今となっては、単なる消費の対象ではなく、経験する対象としてとらえられているのがプロダクトです。

◆あなたのプロダクトをとおして、どんな経験をしてほしいのか
少し古い記事ですが、代官山 蔦屋書店に関する増田社長の記事を読んでも、経験を重視していることがわかります。

・「知的資本こそ 新しい資本主義の根幹です」──増田宗昭(カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長兼CEO) | GQ JAPAN
http://gqjapan.jp/more/business/20120628/ccc

ちょうど昨日知った渋谷にできた図書館「森の図書室」についても単なる図書館を超えた経験を見据えていることがわかりますね。

・森の図書室

もう少し言えば、代官山 蔦屋書店も森の図書室についても、そこが経験を共有できる「場所」になることを目指していると感じられます。

あなたが提供しているプロダクトは、どのような経験を届けることができるでしょうか?

あるいは、経験を共有できるような「場所」(物理的なものだけでなく)を提供できる機会はあるでしょうか?
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編集後記「チェキとジレット」

記事を書いているうちにチェキが気になりだし、価格を調べてしまいました(笑)。

今日時点で最安値が\7,009。

価格の推移を見てみると、結構、上がり下がりがありますが、売れているからでしょうか、高い値段でも売れているのかもしれませんね。

いずれにしても、本体は1万円以下で入手しやすい価格です。

では、と思ってフィルムを調べてみると、10枚入りで \659。

デジカメ感覚でちょこちょこ撮っていると10枚なんて、あっと言う間に使ってしまいそう。

そう考えると、これは立派な「ジレットモデル」(本体は安く売って、替え刃で稼ぐ)で、きっちり稼いでいますね。プリンターやコピー機などとも同じです。

次回の「プライシング」セミナーの良い材料になりました。

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