シナリオプランニングの定義

シナリオプランニングは、現在のような不確実な時代の中で、先が見えない環境変化に振り回されることなく、戦略立案、計画立案、戦略実行などのさまざまな企業経営の場面において、不確実な変化の可能性を機会に変える取り組みを行うための重要な出発点となる考え方です。

スタイリッシュ・アイデアでは、シナリオプランニングを次のように定義しています。

不確実性の高い未来において起こり得る世界の可能性を複数描き、その結果を元に不確実な未来に備える対応策を検討する手法。

ロイヤル・ダッチ・シェルとシナリオプランニング

シナリオプランニングという手法を確立したのはロイヤル・ダッチ・シェルです。同社は1965年に不確実な未来に対処するための取り組みを始め、現在に至るまでシナリオプランニングをさまざまな形で活用しています。

シナリオプランニングをビジネスで使い始めたシェルが、こんなにも長くシナリオプランニングを活用している理由、そして最近になって、日本でも多くの企業がシナリオプランニングに取り組んでいる理由は何でしょうか?

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2013年11月号に掲載された論文「シナリオ・プランニング:その歴史と貢献」の中では、シェルがシナリオプランニングに取り組んでいる目的について次のように紹介しています。

シェル方式のシナリオプランニングは、未来を予測することを目的としていたのではない。その価値は、組織のプロセスにシナリオが埋め込まれること、またプロセス同士を結ぶ重要なリンクとなることにある。プロセスとは、たとえば戦略策定、イノベーション、リスク・マネジメント、広報、リーダーシップ開発などである。

この解説で大切なのは「その(シナリオプランニングの)価値は、組織のプロセスにシナリオが埋め込まれることにある」という部分です。

このことは、弊社の公開セミナーやコンサルティングでも常に強調している「シナリオプランニングの取り組みは未来のことを描いて終わり」ではないという点に通じます。言い換えれば、完成したシナリオを、アウトプットではなくインプットとして組織のプロセスである戦略策定や事業開発、リーダー育成などの取り組みに埋め込んでいくことが、シナリオプランニングに取り組む意義なのです。

シナリオプランニングの起源

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2013年11月号に掲載された論文「シナリオ・プランニング:その歴史と貢献」によれば、シナリオプランニングを企業で使い始めたのは石油やガスなどを手がけるロイヤル・ダッチ・シェルです。

1965年にシェルがロンドンで開始した「長期研究」と呼ばれる活動がきっかけとなり、不確実な未来に対処する取り組みが始まりました。その後、1971年11月にはシェルの最初の石油価格シナリオが完成し、エグゼクティブに提出されました。彼らはその後、約50年以上に渡って、シナリオプランニングを活用し続けているのです。

組織でシナリオプランニングに取り組む際の悩み

スタイリッシュ・アイデアにご相談いただくシナリオプランニング関連の困り事のうち、もっとも多いのが、弊社のシナリオプランニング定義の中で紹介している「その結果を元に不確実な未来に備える対応策を検討する」ことを、具体的にどのようにやれば良いかわからないという点です。

具体的には次のような声を聞くことが多いです。

シナリオプランニングを使って戦略や研究開発テーマなどを考えろと上から言われたものの、シナリオからどのようにつなげれば良いかわからない。

本などを読んで未来のシナリオを複数つくったものの、そこから自社の活動にどのようにつなげれば良いかわからない。

シナリオプランニングをやってから戦略や研究開発テーマまで考えてみたけど、結局、できあがったものはシナリオをやらなかった時と変わらない。

なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか?

それは、シナリオプランニングのこと「だけ」を考えているからです。

いくら優れた手法だとはいえ、シナリオプランニングはひとつの手法でしかありません。そのため、シナリオプランニングをやりさえすれば、新しい戦略や研究開発テーマ、経営計画などが自然と浮かんでくるわけではないのです。

シナリオプランニング・プロジェクトマネジメントモデル

このような悩みを解決するためにスタイリッシュ・アイデアが体系化したのが、「シナリオプランニング・プロジェクトマネジメントモデル」です。

シナリオプランニングでは、未来のことを考えた上で、その未来を元に現在に戻り、今後の対応策を考えるという「バックキャスティング」の考え方を使うことが多くなっています。

同じようにシナリオプランニングに取り組む際も、「シナリオプランニングをやることで、自分たちは何を実現したいのか?つまり、このプロジェクトのゴールは何なのか?」を明確に定めてから、それを達成するために逆算して、シナリオプランニングをどう活用するのかを考えていきます。

シナリオプランニングに取り組むことで得られる成果

スタイリッシュ・アイデアでは、先ほど紹介した「シナリオプランニング・プロジェクトマネジメントモデル」に基づき、シナリオプランニングを活用したプロジェクトを数多く手がけてきました。

その結果、シナリオプランニングに取り組むことで、組織にとって次のような変化が起きることがわかりました。

思い込みを排除した事業検討などができるようになる

未来の可能性を複数検討することで、「現在の状態が今後もこのまま続く」という思い込みを抜け出して、想定外を踏まえた事業や研究開発、ビジョン等の検討ができるようになる。

発想を広げた顧客および自社の理解ができるようになる

現在の顧客や事業にとらわれず、顧客の変化や自社の資源を元にして、より幅広い視野から事業ドメインをとらえ直すことができる。

現状にとらわれない戦略的対話が行われるようになる

組織内での利害関係を超えて、将来の可能性を踏まえ、全社視点からの戦略的対話が研修やプロジェクトの参加メンバーの中から生まれてくる。

もちろん、シナリオプランニングに取り組めば、このような成果をすぐに得られるわけではありません。結果を急いだあまり、効果が出なかったどころか、逆効果になってしまうことも起こり得ます。

そのため、本格的にシナリオプランニングに取り組む場合、スタイリッシュ・アイデアでは、組織開発などの理論を元にして、コンサルティングサービスとしてご支援することを基本としております。

ただし、いきなりコンサルティングが良いのかどうか判断できないという場合は、企業研修や公開セミナーEラーニングでまずはシナリオプランニングを試してみることも可能です。また、リソースページからは、シナリオプランニングの手法を解説したガイドブックなどがダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

シナリオプランニング実践ガイドブック

シナリオプランニングに関心があるすべての人のために作成したのが、この「シナリオプランニング実践ガイドブック」です。

実践に使えるためのわかりやすさを意識して書いていますが、同時に本格的であることも意識しています。一般的なプロセスをなぞるだけではなく、さまざまな企業や自治体、学校等でシナリオプランニングを実践してきた経験を随所に盛り込んでいます。

このガイドブックが、未来を描く旅のガイドになれば幸いです。