SDGsやDXとシナリオプランニングの組み合わせ方【Stylish Ideaメールマガジン vol.218】

以前から企業のお客さまの中で取り組んでいるシナリオプランニングプロジェクトでは、SDGsやDXとシナリオプランニングを結びつけて具体的な対応策などを検討していました。

今回、SDGsとシナリオプランニングを組み合わせたセミナーを公開したことで、

「シナリオプランニングとSDGsって、どう組み合わせるんですか?」

と聞かれることがありました。

質問してきてくださった方々は、何か特別な組み合わせ方があるのではないかという期待でのご質問だったようです。

そのため、こちらからの回答は肩透かしだったかもしれません。

その答えというのは

SDGsやDXを外部環境として検討しつつ、対応策を検討する中で考慮する

というものでした。

しかし、これはある意味シナリオプランニングの本質でもあるのです。

元々、シナリオプランニングは、外部環境の変化、特に不確実な変化が、自社の経営や事業にどう影響するのかを考えるための手法です。

そのため、STEEPと呼んでいる分類を意識して自社に影響を及ぼす可能性がある外部環境要因を幅広く収集するところからシナリオ作成の取り組みが始まります。

そのような一環として、例えば社会の変化や環境の変化としてSDGsの枠組みを検討したり、新技術が経営環境に及ぼす可能性を検討します。

もちろん、それらの検討をやりやすくするための考え方や実践方法はあるにはあります。

しかし、だからといって「SDGs用」「DX用」の特別なシナリオプランニングのやり方があるわけではないのです。

シナリオプランニングをはじめとして、私たちは手法やツールと呼ばれるものに対してつい過度な期待を抱いてしまうことがあります。

しかし、特定の手法を使えば、自社の課題が霧のように消えてなくなるわけではありません。

どのような手法であっても、活用する前に、その手法が持つ本質を見極め、活用しようと考えている場面の目的などに照らし、活用の有無や活用方法を検討することを忘れずに行ってください

コラム執筆者:新井 宏征(あらい ひろゆき)

株式会社スタイリッシュ・アイデア 代表取締役

東京外国語大学大学院修後、SAPジャパン、情報通信総合研究所(NTTグループ)を経て、現在はシナリオプランニングやプロダクトマネジメントの考え方を応用し、事業と組織の両面からクライアントの変革を支援するコンサルティング活動に従事。

Saïd Business School Oxford Scenarios Programmeにおいて、世界におけるシナリオプランニング指導の第一人者であるRafael Ramirezや、Shell Internationalでシナリオプランニングを推進してきたKees van der HeijdenやCho-Oon Khongらにシナリオプランニングの指導を受ける。

その内容を理論的な基礎としながら、2013年の創業以来、日本の組織文化や慣習にあわせた実践的なシナリオプランニング活用支援を行っている。

資格として、PMP(Project Management Professional)、英検1級、TOEIC 990点、SAP関連資格などを保有している。

主な著書に『実践 シナリオ・プランニング』、訳書に『プロダクトマネジャーの教科書』、『成功するイノベーションは何が違うのか?』、『90日変革モデル』、『世界のエグゼクティブが学ぶ 誰もがリーダーになれる特別授業』(すべて翔泳社)などがある。