「ラベル」をはがしてシナリオを考える【Stylish Ideaメールマガジン vol.276】

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シナリオプランニングを進めていく上で、外部環境要因リサーチは非常に大切なステップです。

このステップで出した要因が、このあと考えていく不確実な未来を考える元になるからです。

拙著『実践 シナリオ・プランニング』では、外部環境リサーチのやり方として、「広げる」リサーチと「深める」リサーチの両方が大切だと紹介しました。

それぞれのリサーチは次のように区別しています。

  • 「広げる」リサーチ

シナリオテーマに照らして、なるべく多くの情報を調べる

  • 「深める」リサーチ

シナリオテーマに照らして、なるべく具体的な情報を調べる

特に複数シナリオの中身を検討していく際には、このうちの「深める」リサーチに取り組み、さらに、その内容をシナリオで描く世界と結びつけて考えることが必要になります。

もちろん、そこまで深くリサーチしなくても、今ある知識だけでシナリオを考えることはできます。

しかし、そのようにして検討したシナリオは、とても表面的なものになってしまう可能性が高いのです。

ここでいう「表面的」というのは、例えば次のような外部環境要因の理解で考えてしまっている状態のことを指しています。

  • 高齢化

→高齢者人口が増えるので大変!

  • AIの進化

→なんでも自動化されて便利になる!

  • スマートシティの普及

→実現すれば住みやすい街になる!

ここで書いたそれぞれの外部環境要因に対するイメージはどれも間違ったものではありません。

しかし、このようにメディアなどで言われている紋切り型の「ラベル」のような理解にとどまって未来のことを考えてしまうと、それぞれの要因が変化することによる本当の影響を見誤ってしまう可能性があります。

シナリオとして、将来における社会や人々の生活、事業を取り巻く環境について具体的に考えるためには、このような「ラベル」をはがし、もう一歩も二歩も深く影響を考えていくことが必要になります。

例えば、高齢化であれば、都心部と地方によって、その起き方、そして、それが及ぼす影響は変わってくるはずです。

AIの進化であれば、たしかに長い目で見れば、いろいろなものの自動化を後押しするでしょうが、設定した時間軸ではどこまで進むでしょうか。

また「便利になる」とありますが、AIの進化がもたらすものは利便性だけでしょうか?
例えば倫理面なども含めて、ネガティブな影響は考えられないでしょうか?

スマートシティが実現すれば、たしかに住みやすい街に変わっていきそうです。
しかし、それはすべての地域で実現するでしょうか?
仮にすべての地域ではなかったとして、この動きは、スマートシティ化されなかった地域にどんな影響を及ぼすでしょうか?

未来のことを考えるのはただでさ難しいのに、ここまで細かく考えるのは無理だと思うかもしれません。

しかし、ひとたび私たちの日々の現実生活に目を向けてみると、「ラベル」だけの理解で説明できるほど、単純ではないことがわかります。

そのため、まずは、

  • 未来のことだからすべてを細かく、具体的に考えるのには限界がある

ということと、

  • それぞれの外部環境要因の変化が及ぼす影響は、単純なものではなく、地域や立場など、受け手によって細かく変わってくる

という両方の事実を受け入れるところから始めることが大切です。

その上で、自社にとって影響がありそうな要因とそうでない要因を切り分けた上で、影響がありそうなものについては、なるべく具体的に、いろいろな立場の人や場面を想定して、どんな影響を及ぼすのか考えてみる。

このようにして、はがすべき「ラベル」とそうでない「ラベル」を見極めた上で、シナリオを考えていくことが、自分たちにとって考える意義のあるシナリオをつくる第一歩になるのです。

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「シナリオ・プランニング」とは、組織や個人が未来を見据え、不確実性をチャンス・機会に変えていくための思考法。

シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。

本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。