未来の出発地点である「いま」を理解する必要性【Stylish Ideaメールマガジン vol.272】

メールマガジンバックナンバーシリーズ

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昨日は代官山蔦屋さん主催のイベントで、『進化思考』の著者である太刀川さんと対談。

『実践 シナリオ・プランニング』刊行記念連続トークイベント第1回
 「シナリオ・プランニング×イノベーション」新井宏征×太刀川英輔

太刀川さんが拙著『実践 シナリオ・プランニング』を読んだ感想と、私が『進化思考』を読んだ感想からはじめ、それぞれの考え方の接点を探っていく、非常に面白い対談となりました。

対談の中で太刀川さんから紹介があったのが『進化思考』の中で紹介されている「時空観学習」という観点。

これは、世の中の見えない本質を観察して、自分の思い込みを外すために必要な観点として紹介されています。

(余談ですが、こういう問題意識は、拙著の未来創造OSの部分で紹介したこととかぶる話で、いろいろな共通点を感じた対談でした。)

詳しい解説は『進化思考』に譲りますが、本質を観察し、思い込みを外すための分析を時間と空間の両方の側面から取り組むということで、具体的に次の4つの観点が紹介されています。

  • 解剖(内部):内部の構造を見るための観点
  • 生態(外部):外部との関係を想像する観点
  • 系統(過去):過去からの影響や文脈を観るための観点
  • 予測(未来):未来を明確かつ希望あるものとして想像するための観点

このうちシナリオプランニングは、「予測」のところに相当するものになりますが、残りの要素、特に過去からの影響や文脈を観る「系統」の要素も重要だという話になりました。

この話を受けて紹介したのが、過去のメールマガジンでも紹介したリサーチの重要性です。

シナリオプランニングで必要なリサーチとは【Stylish Ideaメールマガジン vol.220】


以前のメールマガジンでは、リサーチには幅と深さが必要だとして、携帯電話業界を例にしてこのように解説しています。

「幅」を出すためには、部品メーカーや通信会社、コンテンツプロバイダなどの知識を押さえておくと良いかもしれません。

さらに「深さ」を出すために、どんな企業があるのかを知るだけではなく、歴史や競争状況、関連する法規制なども押さえると良いでしょう。

「シナリオで描く分野における知識の幅と深さ」をこのようにとらえて、押さえておくことで、未来において何が不確実なのかを、より具体的に理解することができます。

過去からの影響や文脈を観るための「系統」という観点について『進化思考』ではこう説明しています。

過去からの大いなる創造の文脈が遺伝して、現在も新しい創造が世界中に発生している。
そんな観点で適応を探るための思考を、進化思考では「系統」の思考と呼んでいる。

『進化思考』262ページ

これまでには影も形もなかったようなことが、いきなり未来に現れてくるということはありません。

必ず、それが起きるためのきっかけがあり、そのための経緯があります

もちろん、その経緯や現状を知ったからといって、それにとらわれてしまい、「このまま未来も同じように続いていくだろう」と思ってしまうのはよくありません。

しかし、未来の出発地点である「いま」を正しく理解するための手段として、シナリオプランニングにおいても過去から現在までの理解は欠かせないのです。

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『実践 シナリオ・プランニング』

『実践 シナリオ・プランニング』表紙
「シナリオ・プランニング」とは、組織や個人が未来を見据え、不確実性をチャンス・機会に変えていくための思考法。

シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。

本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。