『実践シナリオ・プランニング』で描かれた理想の道のり【Stylish Ideaメールマガジン vol.271】

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『実践 シナリオ・プランニング』が発売となり、2カ月ちょっとが経ちました。

その間、シナリオプランナー協会主催で実施したABDセミナーや、その他のイベントで、本を読んでいただいた方の感想を聞きました。

そのような中でハッとしたもののひとつは、次のようなものです。

「たしかに、この本で書かれている組織の状況や実践のための対話の状態は理想だけれども、うちの組織でこんなことは難しい気がする…」

表現は違えども、おひとりではなく、何人かの方から似たような感想をいただきました。

たしかに、この本の第1章や第2章では、「未来創造OS」の話を紹介し、

(「未来創造OSって?」という方は、ウェブのこちらの記事の目次から未来創造OSに関する箇所をお読みください

・シナリオプランニング入門 〜 組織での活かし方 )

「戦略的対話」という考え方から対話の重要性を紹介し、最後の章では「未来創造組織」や「未来創造人材」という話までしています。

たしかに、一度のシナリオプランニングの取り組みで、ここに書かれていることをすべて実践し、ここに書かれているような組織や人材になれ、ということであれば、それは本当に難しいです。

ただし、そういうつもりで書いたのではなく、シナリオプランニングの取り組みを続けていくうちに到達するいわば「理想的な状態」が、この本で書いたような状態です。

そのため、これまでさまざまなお客さまとシナリオプランニングを活用した取り組みを進めてきましたが、最初からこの本で書いたことをすべて完璧にできていた組織はありません。

そして、私自身、ファシリテーターとして、それぞれの組織の状態にあわせて、全体の設計を変えてみたり、使う言葉を変えたり、使うシナリオプランニング以外の手法を調整してみたりと、都度、変えながら取り組んできました。

例えば、組織や参加メンバーの状態によって、出てくるアウトプットの許容度を調整したり、この本では「対話」と呼んでいるところを「ディスカッション」という言葉で伝えてみたりというようなことをやっています。

アウトプットの許容度というのは、例えば、これまで不確実な可能性を考える機会がほとんどなく、過去の延長で考えることが当然だった組織であれば、不確実性の低い要因(ほぼ確実だと言えるような要因)であっても一度は軸の候補にしてみて、未来は不確実であることを納得してもらうところから始めることを指しています。

「対話」という呼び方にしても、そういう言葉遣いを好ましく思っていない、あるいは馴染んでいない組織であれば、一度はその組織で日常的に使われていてなじみのある「ディスカッション」という言葉にあえて置き換えて使うことを指しています。

もちろん、このような状態は、本で紹介したような理想的な状態ではありません。

普段なら考えたことがないような不確実な可能性に目を向ける複数シナリオをつくり、お互いの違いにも目を向け、それを掘り下げていく対話をし、完成したシナリオを元に組織全体で「戦略的対話」を広げていくことが理想です。

しかし、組織や参加メンバーの状態にかかわらず、理想的な状態ありきで進めてしまうと、かえって理想的な状態にたどり着くことの妨げになってしまいます。

山登りにたとえるのであれば、目指すべき頂上は誰にとって同じではあるものの、そこに至るルートは、登る人の経験や体力、コンディションによって調整するのと同じです。

ルートが変わるだけではなく、経験や体力がある人がそうでない人よりも速く頂上にたどり着くように、理想的な状態にたどり着くためにかかる時間も、組織や参加メンバーの状態によって変わってきます。

『実践 シナリオ・プランニング』で紹介した理想的な状態を目指しつつも、そこに至るまでは、みなさんの状態にあわせて、道のりを取捨選択していただき、一歩ずつ進んでいっていただければと思います。

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『実践 シナリオ・プランニング』

『実践 シナリオ・プランニング』表紙
「シナリオ・プランニング」とは、組織や個人が未来を見据え、不確実性をチャンス・機会に変えていくための思考法。

シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。

本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。