シナリオプランニングで取り組む2種類のリサーチ【Stylish Ideaメールマガジン vol.261】

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先日、あるお客さまで、今後、取り組むべき技術領域をシナリオプランニングをとおして検討するプロジェクトが終わりました。

ベースシナリオや複数シナリオ作成と、それを元にした戦略オプション検討をとおした技術領域の検討にかけた時間は実質1カ月半ほど。

文字どおり短期集中の取り組みでしたが、結果として、日本を含む3地域をテーマとした2030年の複数シナリオをそれぞれ作成し、その結果を元に取り組むべき新たな技術領域を特定しました。

1カ月半の間、週1で終日のワークショップをやり、それ以外はSlackで進捗確認や質問対応という進め方で一気に取り組みました。

開始時点でシナリオプランニングを理解していたメンバーは一人だけで、最初はどうしてもこれまでの慣れ親しんだ考え方に引っ張られることも多かったのですが、全体像をつかんだあとは、スムーズに進み、非常に完成度の高いシナリオをつくることができました。

うまくいった要因はいくつかあるのですが、その中のひとつは、リサーチの質が高かったこと。

丁寧なリサーチを積み重ねていった結果、そこで得た情報を元に自分たちの思い込みをアップデートしていき、これまでの前提にとらわれないシナリオを作成できました。

シナリオプランニングで「リサーチ」というとシナリオプランニング作成ステップ2番目の「外部環境要因リサーチ」を思い出す人もいるかもしれません。

・シナリオプランニングの進め方(作成ステップ)


たしかに、シナリオプランニングの取り組みを進めると、その時点のリサーチには積極的に取り組む人が多いのですが、それ以降は、これまでの知識や自分の理解の範囲を元にしてシナリオ作成を進めようとしてしまいます。

実は、そこが自分たちの思い込みにとらわれない複数シナリオをつくれない原因のひとつなのです。

シナリオプランニングで取り組むリサーチは、次の2種類が必要になります。

  • 「広げる」リサーチ
  • 「深める」リサーチ

最初の「広げる」リサーチは、先ほど紹介した外部環境要因リサーチで取り組むようなさまざまな要因をなるべくたくさん出していくリサーチです。

それ以上に大切なのは、もうひとつの「深める」リサーチです。

これは外部環境要因リサーチ以降のすべてのシナリオプランニングの取り組みのステップで必要となるリサーチです。

例えば複数シナリオの軸を検討する際、設定した期間において、不確実な外部環境要因がどのようになる可能性があるのかを考えて軸の両極を検討します。

この時、元々持っている知識だけに頼るのではなく、関連する情報を調べることが、あり得そうな未来を描くことにつながります。

例えば「人工知能(AI)の進化」という外部環境要因を軸にしようとするときに、一般のニュースで言われているような内容だけで考えるのではなく、AIサービスの開発動向や関連するスタートアップ企業の動向などを調べると、より具体的に将来のAI活用の可能性が見えてくるはずです。

このように「深める」リサーチをとおして、将来における外部環境要因の状態を具体的に把握した上で、自社として考えたい内容に引きつけて内容を考えていくことで、具体性があり、自分たちにとって考える意義があるシナリオを作成することができます。

そして、そのようにして作られたシナリオを使うと、戦略オプション検討でも具体的なものを考えやすくなるのです。

シナリオプランニングでは、いろいろな種類の情報を集めることが「リサーチ」だと思っていた方は、ぜひ「広げる」リサーチだけではなく、「深める」リサーチにも取り組んでみてください。

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「シナリオ・プランニング」とは、組織や個人が未来を見据え、不確実性をチャンス・機会に変えていくための思考法。

シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。

本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。