シナリオプランニングを繰り返すことで見直される2つのもの【Stylish Ideaメールマガジン vol.240】
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現在のように不確実な時代は、周囲で起きている変化に適応し、自ら変化しなければいけない。
そういうことがよく言われます。
では、変化に適応し、自ら変化していくために、組織は個人は何をすれば良いのでしょうか。
その答えのひとつとなる取り組みが、reframingとreperceptionを何度も繰り返すこと。
いきなり英語を持ち出してしまって恐縮ですが、それぞれの頭についている re- という接頭辞は、「再び」という意味を表しています。
つまり最初の単語は「枠組み」という単語に、次の単語は「認識」という単語に、「再び」意味を表す接頭辞がついています。
まとめると、これらふたつの単語が表しているのは次のような意味になります。
- reframing:(物事を見ている)枠組みを見直す
- reperception:(世の中に対する)認識を見直す
私たちは、世の中や自社、あるいは自分のことを 客観的に見ていると思っていたとしても、何かしらの「枠組み」を持って見ています。
そういう「枠組み」を持っていること自体は悪いことではありません。
しかし、自分が世の中を見ている「枠組み」に 無自覚で、しかも、それが古いままなのに 気づかずにいるのは良いことだとは言えません。
例えば、経済が右肩上がりの時代に持っている 「枠組み」と、成熟している時代の「枠組み」は 同じであってはいけません。
そのため自社、あるいは自分の「枠組み」には 常に自覚的でいて、必要があれば、それを見直していくことが欠かせません。
そして一度「枠組み」を変えてみると、私たちがこれまで思っていた「認識」が 変わることに気がつくでしょう。
例えば、経済が右肩上がりの時代における 製品開発の考え方に対する認識と、成熟した時代の認識は大きく異なるはずです。
このようにreframing(枠組みの見直し)として、自社や自分が持っている世の中を見るための 「枠組み」を見直し、見直したことで見えてくる世界を元にreperception(認識の見直し)として、 自社や自分の「認識」を見直す。
こうしていわばアップデートされた「認識」を元に 組織のビジョンや戦略、事業などを見直すことが、冒頭で書いた変化に適応し、自ら変化するために 必要なプロセスのひとつです。
シナリオプランニングでは、自社や自分を 取り巻く外部環境要因の不確実性に目を向けて、複数の世界を描きます。
こうしてこれまで考えたことがなかったような 複数の可能性を考えることが、「枠組み」を 見直すreframingのきっかけとなります。
そして、起こり得る複数のそれぞれの世界において、自社の顧客がどうなっているのか、自社の事業がどうなっているのかなどを考えていくことがreperception、つまり 自分たちの「認識」を見直すきっかけとなります。
しかし、シナリオプランニングをとおして一度reframingとreperceptionのサイクルを回しても、世界はどんどんと変化していきます。
その変化に対応していくために、シナリオプランニングに一度取り組んで終わりに するのではなく、何度も繰り返し行うのです。
シナリオプランニングを何度も繰り返すことは、それだけreframingとreperceptionのサイクルを何度も繰り返すことにつながります。
現在のように変化の激しい時代には、こり固まった自分の「枠組み」や「認識」を柔軟にしていくことが欠かせません。
しかも、その柔軟にするための取り組みに 取り組み続けるために、シナリオプランニングの取り組みのサイクルを何度も繰り返すことを 取り込んでみてはいかがでしょうか。
以前にご紹介したこのコラムも参考にしてください。
・90日シナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.233】
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