自社を理解するための「図」と「地」とシナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.207】

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明日2019年4月1日には新しい元号が発表され、5月1日に改元となり、新しい元号に改められます。

そういうタイミングで、昨年から今年にかけて、「平成を振り返る」というような趣旨の本や記事などをたくさん見かけました。

その手の論考の中には硬軟いろいろなものがありましたが、中でも

  • 平成の時代を失敗ととらえるもの
  • 良かった時代を取り戻そうというもの

は、書き手・語り手に限らず、いろいろな方が書いているのを目にしました。

そのような大きなテーマについてだけではなく、一企業のことを語る時でも、同じようなトーンで話してしまうことが少なくありません。

わかりやすいのは、その企業において、もっとも業績が良かった時代を振り返って、

「もう一度、あの時の自社を取り戻そう!」

というトーンの話しになり、それに沿った戦略立案や目標設定なども行われるというもの。

そういう話しを見聞きする度に思い出すのが、「図」と「地」の区別です。

いろいろな文脈で使われている用語なので、今回はそれぞれの専門的な解説というよりも、わかりやすい定義を集めたページをご紹介します。

・図と地(ズトジ)とは – コトバンク

このページに載っていることなどを踏まえると、この「図」と「地」というのは、

  • 図:注意が向けられる対象
  • 地:その背景となるもの

と言うことができるでしょう。

上で紹介したページの中ほどにもあるルビンの壺の絵は有名です。

この考え方は、いろいろな分野でも応用され、例えば、松岡正剛氏は、

  • 図:コンテンツ
  • 地:コンテキスト

と区別しています。

私たちが情報に触れる際、図(コンテンツ)には目を向けていろいろなことを考えるものの、その背景の地(コンテキスト)には無自覚である場合が少なくありません。

そして、上で紹介したような「原点回帰」の類の話しになっている場合、特にこの「図」と「地」に目を向けて中身を考える必要があります。

なぜなら、「原点回帰」のような話しをする際、良かった状態の「図」には目を向けているものの、その背景となる「地」、つまり当時の環境にまでは目を向けられていないことが多いからです。

企業の業績を考える場合の「地」には、大きく分けて内部と外部の環境があります。

例えば、「昔は良かった」という場合、社員数も限られていて、進取の精神に富んだ人がそろっていた時代と、それを経て、大企業となり、安定を求める人が大半を占めるような時代は内部環境としての「地」が大きく違います。

また、国として成長過程にあり、多くの人が同じ製品を求める時代に行う事業開発と、国としての成長は頭打ちとなり、我々の周りには
物があふれている時代に行う事業開発は、外部環境としての「地」が大きく違います。

もちろん、昔の良い時代を懐かしむことを否定するものではありません。

しかし、懐かしむ感情ばかりを優先してしまい、その感情に引っ張られるような形で、今の時代の意思決定を行ってはいけません。

懐かしき過去の良さである「図」を丁寧に分解し、平行してシナリオプランニングなどの手法を用い、今の時代、そしてこれからの時代の「地」も冷静に読み取る。

その作業を通して得た「原点」は、時代を超えて通じる、その企業本来の「原点」であるはずです。

同時に、その「原点」だけでは足りない部分も冷静に見つめることができ、新たに育てるべき自社としての「原点」も見えてくるはずです。

このような作業を通して得た「原点」に回帰し、今、そしてこれからの変わり続ける時代における自社にとっての「良い」状態を目指して、各自がオーナーシップを持ち、戦略を実行する。

新しい時代を迎える今、「古き良き」に拘泥せず、「常に良くなり続ける」ことを全員で目指していく企業が増えていくことを願ってやみません。

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