時間の広がりを踏まえた事業の考え方【Stylish Ideaメールマガジン vol.202】

メールマガジンバックナンバーシリーズ

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今回の応用編では、シナリオプランニングのテーマを考えたり、シナリオ後の事業を考える時のヒントとして事業ドメインについて紹介しました。

事業ドメインの基本的な内容については、以前に出したメールマガジンでも紹介しています。

・構想の大きな戦略を立てるためのシナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.162】

上記のコラムでも事業ドメイン(事業領域)を考える際の「物理的定義」と「機能的定義」を分ける重要性を紹介しています。

有名な例で言うと、アメリカの鉄道が衰退したのは自らを「鉄道」という「物理的定義」でしかとらえていなかったからだ、というのがあります。

これは論文「マーケティング近視眼」の中でセオドア・レビット氏が紹介したもので、「鉄道」ではなく「輸送サービス」という「機能的定義」で考えるべきだという主張です。

しかし、実際に考え出して見るとわかるのですが、この「機能的定義」で考えるというのは、同論文で出されている例ほど簡単ではありません。

「我々の事業は鉄道ではなく、輸送サービスだ!」という感じで、直観的に、新しい事業ドメインを考えつくのは実際のところ至難の業です。

一方、シナリオプランニングを丁寧にやる場合、次のような点から、新しい事業ドメインを考える「材料」を集めることができます。

・シナリオプランニング実施前の自社分析(そもそも、自社はどんなことをやっているか?どんなことが強みなのか?)

・シナリオプランニング実施中のアクター分析(自社を取り巻く関係者はどのような人か?例えば、直接の顧客や関係会社だけではなく、顧客の顧客、その間の物流の人などがいる等)※アクターとは自社が事業をやる際の「登場人物」

・シナリオ作成後の戦略オプション検討(複数の未来に対して、それぞれの未来になれば自社は何をやっているだろうか?そのために今から何をやるべきだろうか?)

プロセスとして大まかなところを挙げるだけでもこういう場面があります。

さらにシナリオを考えていく中で、グループ内でいろいろな対話がなされていく中で、「そもそも自分たちは…」という話しも出ます。

このようにシナリオプランニングという普段なら考えない長さの未来を元にして出てきた材料を積み上げて考えることで、現状にはとらわれない事業ドメインを考えやすくなります。

上で紹介している過去のコラム中でも触れている『企業ドメインの戦略論』という本の中にはドメインを考える際の主な観点のひとつに「時間の広がり」を挙げています。

この観点の考え方としては「静的 対 動的」という幅があるとして、次のように紹介しています。

活動内容の変化やその方向、変化の道筋についての洞察を含まないドメインの定義は静的な定義である。それとは逆に、変化についての洞察を含むドメインの定義は動的な定義である。

『企業ドメインの戦略論』

シナリオプランニングをとおして考えることは、この「変化についての洞察」を含めているということになります。

そのような洞察を含めて考えた事業ドメインから事業を見直したり、新たに考えていくことで、時間の広がりを考慮した事業を創り出していくことができるようになるのです。

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『実践 シナリオ・プランニング』表紙
「シナリオ・プランニング」とは、組織や個人が未来を見据え、不確実性をチャンス・機会に変えていくための思考法。

シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。

本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。