シナリオプランニングプロジェクトの「背骨」を考える【Stylish Ideaメールマガジン vol.200】
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シナリオプランニングを使ったプロジェクトに関心があるという問い合わせを受けて、お話しをうかがうと、
「シナリオプランニングを使えば、すべてが良くなるんだろうと思って…」
と期待されている方が時々いらっしゃいます。
しかし、シナリオプランニングは単なる手法です。シナリオプランニングをやるだけであらゆるものが良くなるということはありません。
例えば、シナリオプランニングをやるだけで…
・新しい事業がどんどん創られるようになった!
・経営計画がどんどん実行されるようになった!
・組織のメンバーがどんどん生き生きしてきた!
というアヤシイ広告のような効果はまったく望むことはできません。
決してシナリオプランニングがすべての課題を解決してくれるわけではないのです。
だからこそ、シナリオプランニングを使って何を解決したいのか、良くしていきたいのか、その目的を考えることからプロジェクトの検討を始めていきます。
「どうしてもシナリオプランニングをやりたい」と思っていただけるのはありがたいことです。
しかし、一度、その思いを落ち着かせつつ、無理に「目的を考えよう」と固くも考えず、「なぜ、シナリオプランニングをやりたいのか?」と投げかけてみてください。
「なぜ、やりたいのか?」から考えてみると、事業や組織といったありきたりの枠に収まらないさまざまな理由が出てくるはずです。
そうやって自由な発想を広げるところから始め、最終的な目的としてまとめていくことが大切です。
そのようなプロセスを経て動き出したシナリオプランニングプロジェクトでは、最初の時点で出した「なぜ、やりたいのか?」がプロジェクトの「背骨」となるのです。
プロジェクトをやっていると、大変なことや想定していないことがつきもの。
そういう時、借り物ではない、自分の思いに根ざした目的が、プロジェクトに取り組む意義を再認識するきっかけになるのです。
そして、そのような目的は周りの人を巻き込み、プロジェクトの勢いを加速させる燃料にもなります。
取り組みたいという思いだけで進むのでもなく、形式的な目的でお茶を濁して進むのでもなく、本来の目的を考えることに時間をかけて取り組む。
そのように始まったシナリオプランニングのプロジェクトの先には、明るい未来が待っています。
『実践 シナリオ・プランニング』
シナリオ・プランニングを活用し、自分たちの「シナリオ」を作成することで、過度に悲観的な予測に立って不安に飲み込まれることも、将来の可能性を過度に楽観視することもなく、「健全な危機感」をもって未来を捉え、将来に対する備えをしていくことができるようになります。
本書ではシナリオ・プランニングの理論的な理解はもちろんのこと、シナリオ・プランニングの「実践」をあらゆる組織で無理なく進めていくための方法論、さらには、シナリオ・プランニングの「実践」をもとに、人と組織の成長を促すヒントを解き明かします。