人的資源管理の変化に対応するシナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.167】

04.09


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人的資源管理の変化に対応するシナリオプランニング

改めてプロセス・コンサルテーションについて勉強し、シナリオプランニングのプロジェクトへの応用について考えています。

その一貫として読んだのが、この本。

・『シャイン博士が語る組織開発と人的資源管理の進め方』

この本の冒頭では、企業における人的資源管理部門の役割変化についての考察があります。

それによると、現在は

・技術の複雑化
・グローバル化
・文化の多様性
・IT

という4つの要因が人的資源管理に大きな変化をもたらしているとしています。

具体的にどのような影響があるのかというと、

・社会的責任
・組織文化の変革
・リーダーシップへの影響

という3つが紹介されています。

このうち、最後の「リーダーシップへの影響」は日々コンサルティングをやっている中でもその影響の大きさを痛感しているテーマです。

この部分についてのシャインの考察を引用します。

組織のトップや取締役会といった公式なリーダーが、
意思決定のための十分な知識を持てなくなってきて
いるという点です。これは、複雑性や多様性という
問題によるものです。今や重要な決定に影響する
専門な知識のほとんどが組織の仮想の人々のみが
持つものとなり、取締役会やCEOが決定に関する
十分な知識を得るためには、大変な時間と労力を
要するようになっています。

(中略)

しかし、この流れからいえるのは、将来的に
これ(部下が上司を頼る)とは矛盾したことが
起こり、複雑で専門的な知識に関しては上司が
部下を頼るようになるだろうということです。

(中略)

そのためには、部下が自分の知っているすべての
情報を安心して上司に伝えることができるような
風土を作らなくてはなりません。

出所:前掲書 17ページ

引用した最後の部分に書いたこと、つまり、「部下が安心して上司に情報を伝えられる」風土を作るというのはサラッと書かれてありますが、昨今のさまざまなニュースを見ているだけでも、これが簡単ではないことは容易に想像がつきます。

このような変化に対応し、ここで書かれている理想的な風土を作るために、弊社ではシナリオプランニングプロジェクトにおいてシナリオ作成後のステップを重要視しています。

作成したシナリオは、作成時点での外部環境の状況を踏まえた将来の可能性を描いたものです。

しかし、時間が経つにつれ、複数のシナリオのどれかになっていく可能性が高くなっていきます。

それを事前に、しかも早めに察知して、その変化に対応するための対応をするのがシナリオ作成後の組織内での取り組みです。

これを実践するために、シナリオ作成後、どのような外部環境を重点的に見れば良いのかを設定するようにしています。

これを初期兆候(Early Warning Sign)の設定と呼んでいます。

その上で、シナリオ作成プロジェクト終了後、プロジェクト参加者が個別に情報収集を続け、それを適時共有したり、定期的にメンバーが集まるという共有の仕組みを作るようにしています。

このような仕組みをシナリオプランニングのプロジェクトの一環として設定することによって、普段であれば見過ごしてしまうような想定外の外部環境の変化が俎上にあげやすくなります。

上司から「何かあれば情報をあげるように」と伝えることは簡単ですが、実際にはいろいろな思惑が紛れ込んでしまうことも少なくありません。

そこで、何かあったら、ではなくて、予め自分たちが見るべきものを設定し、仕組みを作ることで、余計な思惑などに振り回されずに情報をあげやすい状況を作ることができます。

複雑化、多様化する時代に柔軟に対応できる組織をつくるために、シナリオプランニングをぜひ活用してみてください。

◆参考セミナー◆
⇒ 組織での活用に重点を置いて実践的に学んでいく講座です。
公開セミナー日程 | 株式会社スタイリッシュ・アイデア

読んでる本「プロセス・コンサルテーション」

上で書いたようにここ最近はシャイン漬けの日々。
プロセス・コンサルテーションといえば、そのものズバリのこの本も忘れてはいけません。

・『プロセス・コンサルテーション – 援助関係を築くこと』

シャインがこの後に出した一連の著作を見ると、サブタイトルになっている「援助(helping)」が重要なキーワードであることがわかります。

一冊の本だけではなく、その前後の著作も読み、著者の考えの変化を追うことで、いろいろなことがよく理解できるようになりますね。

読書術の本を読むと「全集を読め」と主張しているものが多くありますが、同じような視点ですね。

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