構想の大きな戦略を立てるためのシナリオプランニング【Stylish Ideaメールマガジン vol.162】

02.08


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構想の大きな戦略を立てるためのシナリオプランニング

昨年から続いていたシナリオプランニングを活用した技術戦略策定プロジェクトのコンサルティングが先月で完了しました。

今回、シナリオプランニングの結果を戦略につなげていく部分で特に意識したのが自社のドメインの理解と設定です。

企業におけるドメインとは「戦略領域」と呼ばれたりするように、自社における活動の範囲のことを指す用語になります。

『企業ドメインの戦略論』の中では、このドメインを定義する際の問いとして、次のようなものが紹介されています。

・われわれは今どのような事業を行っており、
 今後どのような事業を行おうとしているのか

・わが社はいかなる企業であり、

いかなる企業になるとしているのか

『企業ドメインの戦略論』12ページ

これらの問いからわかることは、自社のドメインを考える際には、「現在」と「これから(未来)」の両方の観点が必要だということです。

さらに、この『企業ドメインの戦略論』では、ドメインを機能させるために、時間とともにドメインを変えていく必要性を説いています。

では、未来のことも考えられて、時間とともに柔軟に変化させやすいドメインというのはどのようなものなのか。

それはドメインの種類と関係があります。

ドメインには「物理的定義」「機能的定義」の2種類の定義があります。

よく例として出されるものとして、アメリカの鉄道事業が過去に衰退したのは、自分たちのドメインのとらえ方として「鉄道」という「物理的定義」でのみとらえ、「輸送」という「機能的定義」の視点がなかったという指摘があります。

この「物理的定義」と「機能的定義」の違いは、シナリオプランニングのテーマを考える際にとても重要になってきます。

以前にあるクライアントから、自分たちでシナリオプロジェクトを進めているがうまくいかないという相談を受けました。

話しをうかがってみると、シナリオのテーマを「10年後の日本における自動車の使われ方」と設定していました。

これは「物理的定義」でのテーマ設定です。

そのため出てきたシナリオの世界には電気自動車や自動運転などが描かれているだけで目新しさがありません。

そこでその場で「機能的定義」を念頭において「10年後の日本における移動のあり方」にテーマを変更することをお薦めし、このテーマ変更がブレイクスルーになりました。

手法としてシナリオプランニングを使うかは別として、未来のことを考える際に「物理的定義」だけでとらえていると、ついつい既存の事業にしがみつく思考になります。

一方で、「移動」というような「機能的定義」を元にして未来を考えると、既存の事業という足かせを外して考えることがやりやすくなります。

先ほど紹介した『企業ドメインの戦略論』では広がりのあるドメインを定義することが、構想の大きな経営、スケールの大きな経営につながると書かれています。

その観点を踏まえれば、シナリオプランニングを活用して戦略立案をする際、テーマ設定の際に広がりのあるドメインにつながる「機能的定義」を意識することによって、既存事業にこだわらない構想の大きな戦略につなげやすい未来を描くことができるようになるのです。

(なお、より緻密にドメインを検討する際にはここで紹介した以外の観点も必要になりますが、今回は話しを単純化して紹介しています)

◆参考セミナー◆
⇒ 戦略につなげやすいシナリオの作り方について紹介します。
公開セミナー日程 | 株式会社スタイリッシュ・アイデア

読んでる本「企業ドメインの戦略論」

今回のコラムでも紹介したこの本を再読しました。

・『企業ドメインの戦略論』

1992年の本で、出てきている事例は古いものながらとてもわかりやすく解説されているため、ドメインという一見とらえにくそうな概念を理解しやすくなっています。

あとがきを読むと、この本の原稿校正を手伝ってくれた大学院生として楠木建さんらの名前が出てきているのも、「おおっ」と思いますね。

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