本当の競合は誰なのか?(プロダクトマネジメントの現場から)

06.06


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前回の「プロダクトマネジメントの現場から」では、『なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編』からビジネスモデルの3要素を取り上げて考えてみました。

ビジネスモデルの3要素(プロダクトマネジメントの現場から)

ビジネスモデルの3要素とは、

  • Who
  • What
  • How

であり、ビジネスモデルキャンバスに当てはめると、キャンバスの中心にある「価値提案(バリュー・プロポジション)」は What に相当し、キャンバスの右側では顧客セグメントなどの Who、左側では自社の活動やリソースなどの How を考えるような構成になっているという整理をしました。

左側から考えるのか、真ん中と右側から考えるのか

いざビジネスモデルキャンバスを書こうとすると難しいのは、中心にある「価値提案(バリュー・プロポジション)」の部分と右側の「顧客セグメント」の部分です。

これは要するに「誰(Who)に何(What)を届けるのか?」と言うことができ、言葉にしてしまえば極めて単純な部分です。ここを掘り下げてしっかり押さえた上で、「じゃあ、そういうことは自社でできるのか?」と、左側にあるHowの部分を考えるという流れが良いでしょう。

左側から考えてしまうと「うちができることはコレ」というところから始まってしまい、顧客がほしくもない機能やサービスをひたすら極めて、それを届けようとしてしまいます。よくある「機能先行」「スペック先行」の商品やサービスは、これです。

そこで、真ん中と右側、つまり「誰に何を届けるのか?」というところですが、ここは、言い換えれば「特定の顧客セグメントにとってのベネフィットは何か?」ということです。

いきなり「ベネフィット」と言うとわかりにくいのですが、要は顧客にとって「うれしいこと」は何か?を考えるのです。

セブンコーヒーとスタバコーヒーは競合関係か?

例えば、最近、セブンイレブンのコーヒー「セブンカフェ」が人気です。わたしも活動範囲のそばにセブンイレブンが多いのもあり、よく買います。

この人気ぶりを見て「スタバは大変だ。」という意見を見かけることがあります。しかし、本当にそうでしょうか?

例えば、わたしにとってセブンとスタバでは、求めるベネフィットがまったく違います。

セブンでコーヒーを買う時というのは、「家やオフィスで手軽にインスタントコーヒー以上のコーヒーを飲みたい」というベネフィットが働いています。

コーヒーを自分で淹れればいいのはわかっています。でも、その時間を惜しんでしまうことがある。とはいえ、インスタントではいまいちだし、コーヒーメーカーを買うほどでもないという、わかりやすく言えば怠け者が求めるものを安価に満たしてくれるというのが、セブンカフェのベネフィットです。

一方、スタバでは「出先で次の予定までの時間にWi-Fiを使える環境で、コーヒーを飲みながら、メールの処理をしつつ、少しゆっくりしたい」というベネフィットが働いています。

外ではなるべくオフラインの時間を取ろうとしているため、しばらく前にモバイルルーターは解約しました。しかし、結構時間が空いてしまった時などには、その時間を使ってメールの処理などをしたい時があります。iPhoneのテザリングも使えますが、長く使っていると気になる。そういう時にWi-Fiが無料で使えるスタバが候補に挙がってきます。

ということで、わたしにとって、セブンとスタバはまったく異なるベネフィットを満たす存在であり、共存する対象です。

わたし個人の趣向からすると、セブンカフェが競合として現れ、脅威にさらされているのがマウントレーニアなどのチルド飲料です。

これまで、「家やオフィスで手軽にインスタントコーヒー以上のコーヒーを飲みたい」というベネフィットを満たしていたのが、チルド飲料だったのですが、最近はほとんど買わなくなりました。

競合を考えるには「顧客ベネフィット」から

自社にとっての競合を考えるとなると、単純に同じ業態や同じ種類のサービスなどを考えるかもしれませんが、それはあくまで機能やスペックなど、つまりビジネスモデルキャンバスの左側から見た視点です。

しかし、「顧客ベネフィット」という視点で見てみると、まったく違う世界が広がっていることがわかります。それが、本当の競合なのです。

例えば、吉野家の競合と言えば、同じ牛丼チェーンが浮かぶかもしれません。

しかし、駅前に吉野家とマクドナルドとほっともっとが並んでいて、顧客が求めるものが「なるべく安く、手軽にお昼を済ませる」であれば、吉野家の競合は牛丼チェーンではなく、これらのお店になります。

一方、顧客が求めるものが「安く牛丼を食べたい」であれば、吉野家の競合は松屋やすき家などの牛丼チェーンになります。

このように、自社の競合は「顧客にとってのベネフィット」から考えることを忘れないようにしてください。

photo credit: yeahbouyee via photopin cc

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