アイデアノート010「プロダクトマネジャーとツール」(プロダクトマネジメント004)

10.17


プロダクトとマネジメント

先日は「POStudy 〜プロダクトオーナーシップ勉強会〜」という勉強会でプロダクトマネジメントについてのワークショップをしてきました。

そのワークショップでは「プロダクトとマネジメント」というタイトルをつけ、プロダクトマネジメントの大切なところを、プロダクトとマネジメントに分けて考えてみる構成にしました。

ワークショップではプロダクトの部分をメインの内容に(全体の8割くらい)したのですが、今回のアイデアノートではマネジメントの方を少し考えてみましょう。

PM理論とマネジメント

社会心理学者の三隅二不二(みすみ じゅうじ)氏が提唱したPM理論というものがあります。これはリーダーシップはP機能とM機能の2つの能力から構成されているというものです。ワークショップの際に使った資料はこちら。
PM理論
P機能とはPerformance、つまり集団が高い成果を上げられるようにすることを指しています。一方のM機能はMaintenance、つまり集団を維持する能力、まとめる能力のことを指しています。

P機能、M機能がそれぞれ高いか低いかだけでマトリクスにした場合、両方とも高い状態をPM型と表し、両方とも低い状態をpm型と表します。またP機能は高いが、M機能は低い状態をPm型、その逆をpM型と表します。

リーダー自身の能力が高い場合はPm型の集団になる可能性が高くなり、まとめることは得意な人の良いリーダーであればpM型になる可能性が高くなるでしょう。ただ、やはり目指すべきはもちろんPM型です。

そこで、マネジメントがPM理論になるためにどのように役に立つのか、ひとつの視点をご紹介します。

「配る」マネジメント

慶應大学の高木晴夫教授は新著『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ』では「配る」マネジメントという考え方を紹介しています。

会社にはヒト、モノ、カネ、そして情報という経営資源を持っていますが、マネジメントという仕事はこれらを「配る」のが仕事です。特にプレイングマネジャーのような立場や、今回のテーマにもなったプロダクトマネジャーの場合、限られた権限しか与えられていない場合が多いでしょう。

そこで彼らが「配る」ものといえば「情報」です。では、何のために情報を「配る」のかというと、部下に動機付けを与えるためです。そのためにはマネジャーは情報を「獲りに行く」という行為も必要になってきます。

つまり、マネジャーは自らの上司から情報を「獲りに行き」、その情報を部下に「配る」ことで動機付けをする。そして、その過程でどのような情報を獲りに行き、どれを配るのかということを決めることは、すべてマネジャーが行うべき意思決定になります。

3つの経営専門能力

このように「配る」「獲りに行く」「意思決定する」ということを行いながらマネジャーとしての職務を遂行し、自らのキャリアを高めていくためには、「経営専門能力」と呼ばれるものが必要です。

このうちよく知られているものとしてロバート・カッツが提唱したものカッツモデルやカッツ理論と呼ばれるものがあります。そこでは次の3つのスキルが必要だと言われています。

  1. コンセプチュアル・スキル(概念化能力)
  2. ヒューマン・スキル(人間関係力)
  3. テクニカル・スキル(専門技術力)

このうち3のテクニカル・スキルは、自分の専門分野に関する知識の他、財務会計やマーケティングなどの専門知識のことを指しています。

書店に並ぶ本から傾向を見るとすると、今ではこれらのスキルを学ぶための本には事欠きません。10年以上前に、MBA関連の書籍や情報が出回り始めてからは、やる気さえあれば誰でも学ぶことができるスキルになり始めました。

その後、2のヒューマン・スキルについての本に注目が集まり始め、今でもここは人気が高そうです。コーチングにはじまり、ファシリテーション、最近ではNLPなどの本も見かけることが増えてきました。

そういう中でも、なかなか学ぶのが難しいのが1のコンセプチュアル・スキルです。『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ』の中では、このスキルを次のように説明しています。

目標達成のための業務はどのような要素がどのような理由で関係づけられていて、今後は、その業務をどのように展開していくべきか、要素と関係について構想し、企画し、戦略を練る力

これを読んで「難しそうだ」と思った方も多いかもしれません。実際、コンセプチュアル・スキルを身につけるのは簡単ではありませんが、これなしではマネジメントの仕事は進まないという、本当に重要なスキルです。

ツールに逃げない

最近の傾向を見ていると、このコンセプチュアル・スキルの穴を埋めるために、さまざまなツールやフレームワークに頼るような人がいます。

ただし、以前にビジネスモデルをネタにして紹介をした時にも書いたように、ツールはあくまでもツールで、そのツールにこめられている意図や、それを使う場面、目的などをきちんと理解しなくてはいけません。

アイデアノート008「ビジネスモデルの仕掛けと仕組み」(プロダクトマネジメント002)

逆に、金槌を持つとすべて釘に見えてしまう(If all you have is a hammer, everything looks like a nail.)ではないですが、ツールを知ると、なんとかしてそれを当てはめたくなってしまうという弊害もありそうです。

高木教授によれば、「配る」マネジメントを心がけていれば、これらの経営専門能力を高めることができるとのこと。

ついツールに頼りたくなってしまいそうな時ほど、日々の業務において一段上の視点を持つことを心がけ、そこから学んでいくことを心がけたいですね。

※プロダクトマネジメントに関連したビジネスの見方を学べるコラム「アイデアノート」や最新のセミナー情報などをお届けする「スタイリッシュ・アイデア ニューズレター」の登録はこちらから。



【「プロダクトマネジャーとツール」を理解するためのブックガイド】
まずは今回のアイデアノートの柱にもなった『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ』から。

・『プロフェッショナルマネジャーの仕事はたった1つ
4761269332

三隅氏のPM理論は、なんと1966年に出た『新しいリーダーシップ集団指導の行動科学』でも出てくるようですが、ブルーバックスから出ている『リーダーシップの科学〜指導力の科学的診断法』が読みやすそうなので、これを中古か、図書館で借りるのも良いかもしれません。

・『リーダーシップの科学 指導力の科学的診断法
4061326554

そしてプロダクトマネジャーについては、迷わずこちらを(笑)

・『プロダクトマネジャーの教科書
4798111929

photo credit: UGArdener via photopin cc

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