アイデアコラム003「ルネサンスであるということ」

09.19


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もう9月になってしまいましたが、先月末、以前にお伝えしていた日本建築学会大会に参加してきました。情報システム部門研究協議会で「建築におけるセンシングからビッグデータまでを考える」と
いうテーマでの開催でした。

2013年度 日本建築学会大会に登壇

京都大学で「エネルギーの情報化」に関する研究に取り組まれている松山隆司先生に続き、私が「ビッグデータの本質と建築分野での活用の可能性」というテーマで、招待講演をさせていただきました。

その後、委員会の皆さんの発表があり、最後にパネルディスカッションがありました。パネルディスカッションでは、今後の建築とビッグデータという関係に限らず、今後、限られた分野やテーマにとどまるのではなく、分野を超えた視点から、現在私たちが直面しているさまざまな社会的な課題に取り組んでいかなければならないというようなことをコメントしました。

ただ、私の表現力の拙さなどもあいまって、どこまで思っていることが伝わったかは定かではないのですが、そんな時にMIT Media Labの石井裕副所長のとても刺激的なインタビューを見つけました。

クリエイティビティという言葉を振り回すのではなく、本質的に創造的であれ | 広告 | KOHKOKU

石井裕さんといえば、デジタルの世界に触感を持ち込むタンジブルの研究で知られている方で、弊社が掲げている「2200年を善いものにするためのアイデアを」というミッションを思いつくきっかけとなった方です。

その石井さんが、世界的な広告賞であるカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルにて講演を行ったそうで、その内容を受けてのインタビューです。

どの部分を切り出しても刺激的で、さらに自分の至らなさを痛感する話しばかりなのですが、先ほどの建築学会のコメントと(図々しくも)関連させて引用すると、この辺りが関連します。

自分は理系だとか、自分はネクタイをしめているサラリーマンだというように、「ラベル」を貼った段階で、既に決定的に、自分の戦う空間を狭くしてしまっている。インターディシプリナリー(専門領域を超えること)はすごく大事なんだけれども、理系、文系、デザイナー、アーティスト、技術者がコラボレーションするというのは、本当のインターディシプリナリーじゃない。

では、「本当」とはどういうことなのか?

そういう定義された区分けから産まれるもの自体に、明らかな限界があって、各人が美学と工学の両方をつかんでいなければ本当はダメなんです。すなわち、アート、デザイン、サイエンス、エンジニアリング、そしてビジネス、この5つのランゲージを全部しゃべれて、すべての世界に翻訳するに耐え得る深いアイディアだけをやろうとしなければ、これからは一切戦えない。ですから、理系・文系とか、あるいは課長・部長とか、メディアとかアイディアだとか、なんだとか、ラベリングが完了した時点で、ものすごく人間本来のルネッサンス的、躍動的な才能の半分が封鎖されてしまっているということ。

その上で、こう付け加えます。

これから求められるのは、絶対に、ルネッサンス・ボーイズやルネッサンス・ガールズです。

これから私が「ルネッサンス・ボーイズ」になれる見込みは、かなり厳しいとは思いますが、目指すのは自由なので、自分なりに、このインタビューの内容を咀嚼して、改めて自分の来し方行く末を考えてみたいなと思います。

そして、自分だけでどうのこうのするというのだけではなく、次の世代の人たちからルネッサンス・ボーイズやルネッサンス・ガールズを輩出するような、そういうところでのかかわり方もしてみたいですね。そういう意味では、広い意味での「教育」には、積極的にかかわっていきたいなと思っています。

ちなみに建築学会で共に招待講演をさせていただいた京大の松山先生とは休憩中やその後の懇親会でも、先生の研究自体はもちろん、研究者としての先生自身のお話しも伺うことができました。

先生自身、50歳の時に、今後自分が何をやるべきかということを改めて考え、現在のエネルギーの情報化のテーマに取り組んでいるとのことでした。

私自身も、勝手に自分に制限を設けるようなことをせず、積極的に新しいことに挑戦していきたいなと改めて思うきっかけになりました。

「ルネサンスであるということ」を理解するためのブックガイド
石井裕さんのインタビューでお腹いっぱいになってしまうかもしれないので、一冊だけ。

私も読み始めたばかりですが、なんとなく、この本と通じるところがあるなと感じました。

・『100年の価値をデザインする: 「本物のクリエイティブ力」をどう磨くか
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フェラーリやマセラティをデザインした世界的な工業デザイナーである奥山清行氏の書き下ろし。デザイン論というか、日本人論として読むことができる、こちらも刺激的な内容です。

photo credit: cuellar via photopin cc

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