アイデアノート008「ビジネスモデルの仕掛けと仕組み」(プロダクトマネジメント002)

08.23


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ビジネスモデルを見える化する

ビジネスモデル・ジェネレーション』という本が人気です。

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既にご存じの方も多いと思いますが、ビジネスモデル・キャンバスという一枚の「キャンバス」の中に9つに分かれたブロックがあり、そのひとつひとつが、ビジネスモデルの構成要素となっています。

その構成要素をひとつずつ埋めていけば、自社、あるいは取り組んでいる事業などのビジネスモデルが見える化することができるというツールです。

わたし自身も使ったことがありますが、ビジネスモデルを考える際に考慮すべき要素が網羅されていて、しかもキャンバスを埋めた後は、そのビジネスモデルを一覧できるので、ビジネスモデルを客観的に見るためには良いツールだと思います。

以前に弊社のブログでも紹介したリーンキャンバスというのは、このビジネスモデル・キャンバスの派生系という感じでしょうか。

リーンキャンバスをWeb上で − leancanvas.com | Stylish Idea

キャンバスの前後を意識する

ただし、このツール、深く考えずにキャンバスだけを埋めていくだけでは、その効果を十分に活かせないのではないかと思っています。なぜなら、ビジネスモデル・キャンバスに限らず、フレームワークの類は「埋めようと思えば、とりあえず埋められてしまう」から。

そのため、このようなフレームワークを使うためには、使う前後を意識しなければならない、つまり「なぜ、これを使うのか?」という点と「これを埋めた後、どう活用するのか?」という点を、きちんと考えていく必要があります。

そこで、基本に立ち戻るという感じで、しばらくビジネスモデルについて改めて考えてみようと思います。

ビジネスモデルの「仕掛け」と「仕組み」

ビジネスモデル・ジェネレーション』が注目されて以降、ビジネスモデルに関する書籍が目立つようになってきました。

最近出たものの中では『30ポイントで身につく! 「ビジネスモデル思考」の技術』という一冊が、ビジネスモデルを知るための本としては入りやすい本だと思います。

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この中では、ビジネスモデルの定義を「市場への仕掛けと仕組みを掛け合わせた儲けの構造」と定義しています。では、この「仕掛け」と「仕組み」とは何なのか。このように説明されています。

・仕掛け=市場や顧客に問題提起し、問題を開発し、新たな価値を創造すること
・仕組み=価値を届けるため、資源(人・モノ・金・情報)を整え最適化すること

この「仕掛け」と「仕組み」を整えることで、顧客の価値を最大化していくというのが、ビジネスモデルを考えるための意義です。

そしてこの本では、それを考えるために「ビジネスモデル・デザインマップ」を紹介しています。「ビジネスモデル・デザインマップ」とは、STV + 6P というフレームワークで構成されるという解説があるのですが、今回はこのフレームワークのことは一度置いておいて、「仕掛け」と「仕組み」についてもう少し考えてみましょう。

農業先進国の「仕掛け」と「仕組み」のケース

最近私が関心を持って見ている農業分野を例に挙げて、考えてみましょう。

世界各国の農業輸出国のランキングを見ると一位はアメリカですが、二位には国土面積で日本の10分の1程の国がランクインしています。どこだかわかりますか?

オランダです。オランダは国土面積だけでなく、人口も日本の10分の1程度の国ですが、世界第二位の農業輸出国で、農業先進国としても知られています。例えば、世界中に出回っているトマトの4分の1がオランダ産だと言われています。

オランダが農業においてこれだけ高い競争力を持てているのは、農業ビジネスのビジネスモデルをきちんと構築しているからです。

例えば、オランダで生産している農作物を品種別に見ると、先ほどのトマトがもっと多いのですが、それ加えてパプリカとキュウリを重点的に生産しています。そして、これら3品種が全農作物に占める割合はなんと75%。トマトに至っては36%を占めています。

つまり、オランダではトマトなどの比較的付加価値が高い農作物に絞って生産を行っているのです。ただし、これだけでは世界第二位にまでなるだけの農業にはなりません。

そこで、オランダでは単に収穫したトマトをそのまま出荷するだけではなく、食品会社を通して加工食品として出荷することで、高い品質のトマトを顧客が扱いやすいような形で手に入れることができるようになります。

農作物だけではなく、畜産においても同じような取り組みが行われています。例えば、牛乳。そのまま輸出するのではなく、品質の高いチーズとして加工することで、輸出しやすくなりますし、牛乳のまま輸出することに比べて、高い収益をあげることができるのです。

まとめると、市場のニーズなどを踏まえて、生産する品目を絞りこんだ上で、農業(一次産業)だからといってそのまま輸出するのではなく、そこに加工などのプロセスを挟むことによって、より市場にあった形で出荷をしているわけです。これらは「仕掛け」の部分に相当します。

その上で、そのトマトなどを限られた土地で効率的に作るために、ハウスや植物工場といった施設園芸に力を入れ、施設内ではセンサで情報を収集し、そのデータをソフトウェアを使って制御することで、効率的に生産ができるような「仕組み」を整えています。生産だけではなく、その後の加工や流通、販売といった段階でも、さまざまな「仕組み」の工夫をしています。

「仕掛け」と「仕組み」の両方を意識する

冒頭でも紹介したビジネスモデル・キャンバスは、どちらかといえば、あるビジネスの「仕組み」を整理するために有効なツールだと言えます。

ただし、これまで紹介してきたように、ビジネスモデルというのは「仕組み」だけではなく、それと「仕掛け」の掛け合わせです。

よく「良いビジネスのアイデアを思いついた!」という話しを聞きますが、その場合、その「アイデア」というのは「仕掛け」のことなのか、あるいは「仕組み」のことなのか、一歩引いて考えてみるのが良いかもしれません。

「ビジネスモデルの仕掛けと仕組み」を理解するためのブックガイド
今回のアイデアノートのベースとなった『30ポイントで身につく!「ビジネスモデル思考」の技術』は、ビジネスモデルの考え方を改めて整理するのに良い本です。

・『30ポイントで身につく! 「ビジネスモデル思考」の技術
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この本を入口として、より詳しい本や関連する戦略本やイノベーション関連の本、最近人気があるスタートアップ系の本に目を通すのが良いかもしれません。「ビジネスモデル思考」の中には、異業種のビジネスモデルを活かす話しが出てきますが、そういう観点を一冊にまとめたものがこれ。

・『異業種競争戦略
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とても読みやすく、新しい視点が手に入る一冊です。

これらの本を読んでから、改めて『ビジネスモデル・ジェネレーション』を読み返してみると、違った視点で読めるかもしれませんね。

・『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書
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photo credit: ozz13x via photopin cc

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