アイデアノート003「未来を見据える態度」(シナリオプランニング001)

06.13


あなたの未来を知りたいですか?

昨日、Facebookの友人が何やらコワい写真があるという投稿をしていました。どちらかというとそういうものは見たくない性分のくせに、ついつい気になり、思わずクリックして見てしまったのです。

まぁ、実際はそんなに怖ろしいものでもなかったので良かったのですが(やせ我慢?)、何かそういうアヤシイものこそ、ついつい見たくなってしまうようなことはないでしょうか?

それは「未来」も同じです。言葉だけを切り離してみれば、とても希望に満ちた響きを感じますが、一度、そこに「自分の」や「会社の」、あるいは「日本の」といったような文脈が加わると、必ずしも希望にだけ満ちあふれているものではなくなってしまいます。それは希望がないというシニカルな話しではなく、希望を感じる未来もあれば、憂うような未来もある。そして、それがどちらか一方だけというよりは、そういう悲喜、あるいは清濁が混在しているのが「未来」ではないでしょうか。

「未来」そのものに何か不思議な印象を感じるだけではなく、未来を知ることに対する、自分の中にある背反する感情に気がつくことがあります。占いなどはその典型で、所詮朝のテレビの1コーナーだと普段は割り切っていても、良くない結果と知れば気分は良くはないですし、大事なことを控えている時ほど、そういう類のものに触れるのを避けるという人もいるかもしれません。そんなに気にしていないよという人でも、自分が思い描いているような結果が出れば喜び、正反対の結果が出れば「こんなのはアテにならない」と、結果をろくに見ずにやり過ごすかもしれません。

1969年に刊行された『2001年の日本』の中で全体考察を書いた加藤秀俊さんという方が、実際に2001年になって答えたインタビューの中で「未来は、薄気味悪いもの」と答えたそうですが、これに共感する人も多いのではないでしょうか。

『知的未来学入門』

個人としても、そして企業としても、私たちは「未来」に対して、とても複雑な印象を持ち、接しています。一方で、未来を知りたいという思いは時代や国境を越えて、私たちが共通的に持っている強い思いのようです。

原始からのそのような思いをまとめ、それが現在では政治や経済、ビジネスにどのような影響を与えているのかをまとめた『知的未来学入門』というすばらしい本があります。最近改めてこの本を読み返してみたのですが、やはりとても良い本で、読んでいるだけで、たくさんのインスピレーションを得られます。

未来学と「未来」

未来学の話しをする時に良く受ける誤解は、未来学は「未来を予知、予測するもの」だということ。この『知的未来学入門』にも書かれていますし、その考え方をビジネスなどで応用するためにまとめられた「シナリオ・プランニング」という手法の解説でも必ず言われることですが、「未来学」や「シナリオ・プランニング」は未来を当てにいくものではありません。

シナリオという言葉が示すように、未来学やシナリオ・プランニングと呼ばれる手法は、複数のシナリオを描くことによって、どのような事態が起こっても、冷静にそのような事態に対処できるような準備や心構えを作っておくために利用するものなのです。

単純に「複数のシナリオを描く」といっても、実際はそう簡単なものではありません。対象とする分野や状況に対して可能な限りの情報を集め、そこからシナリオを描くべき軸を定め、いくつかのケースを想定した上で、実際にシナリオを描いていくことになります。

それについては『知的未来学入門』の中で紹介されている『タイム・マシーン』の著者としても知られるH・G・ウェルズの言葉に次のようなものがあります。

人間が未来に関心を持っている限り、未来を知る手掛かりは常に人間の中に隠されている。(中略)その(未来を予測し、未来を創造していく)ためにも、政治、経済、社会、宗教、倫理、科学などをシステムとして総合的に捉えた未来研究という学問を一日も早く確立する必要がある

アイデアノートの第1回でもシステムについて書きました。

アイデアノート001「システムをつかむ」

今の私たちに必要とされているのは、見たくないものを見ないようにするのではなく、専門家然として凝り固まった視点で物事を見てわかったつもりになるのでもなく、限られた知識を元に近視眼的に世の中を見ることでもありません。

身の回りのこと、それは経済状況や技術開発の状況だけではなく、アイデアノートの第2回でも触れたような人に対する興味も忘れず、謙虚に、そして柔軟に、未来を見据えていくことなのかもしれません。

アイデアノート002「価値から人へ」

この未来学、あるいはシナリオ・プランニングは、今この時代だからこそ、大きく意味を持つ考え方ですね。次回以降、もう少し掘り下げてご紹介していければと思います。

「未来を見据える態度」を理解するためのブックガイド
入口としては、本文でも紹介した『知的未来学入門』がお薦めです。残念ながら絶版ですが、Amazonなどで中古本が入手できます。

・『知的未来学入門

この『知的未来学入門』は現在参議院議員の浜田和幸氏の処女作ですが、その後に出た著者の本の「源流」とも言うべき本です。

その後、この本を下書きとしつつ、加筆された「改訂版」とも呼ぶべき1冊が、2005年に光文社ペーパーバックスから『未来ビジネスを読む』として出版されています。

・『未来ビジネスを読む

個人的には本の読みやすさも含め『知的未来学入門』の方が好きですが、加筆されている内容や著者とアルビン・トフラー氏との対談が載っているなど、『未来ビジネスを読む』もお薦めです。こちらも絶版ですが、やはり中古本として入手できます。

photo credit: darkmatter via photopin cc

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

メールマガジン購読

未来を見据え、未来を創るためのビジネスの見方を学べるコラム「アイデアノート」や最新のセミナー情報などをお届けする「スタイリッシュ・アイデア ニューズレター」にご登録ください。

新刊のお知らせ

組織でイノベーションを起こすために必要な知識が詰まった『成功するイノベーションはなにが違うのか?』発売中

4798140570
ページ上部へ戻る